村上春樹/著


去年末に文庫化されたわりと最近の村上春樹の短編集。

奇譚(きたん)とは珍しい話とか不思議な物語とかそういうことだそうです。


タイトルの通り5編全てが不思議な話。

もともと村上作品は不思議系が多いのですが、それらとはちょっと毛色が違います。

ファンタジーからもう一歩踏み込んだような謎めいた感じ。


5編中4編が主人公が“僕”でない作品でした。

女性だったり、男性だけれど“私”だったり、“彼女”あるいは名前であったり、名前がなかったり。

ひとつだけ“僕”だったのは体験談として著者自身が主人公である作品だけです。


たくさんの村上作品を読み漁ったわけではないのでよくわかりませんが(本当は昔読み漁ったのだけれど勢い良く読みすぎて忘れてしまった)、彼の作品のイメージとして、“僕”の考えるもやもやとしたものが具現化した世界が舞台となっていることが多かったような気がするんです。

夢の中の出来事が現実になってしまったかのような不安定さ。

今回もその世界観は健在ですが、短編だからか設定が具体的だからか、より現実的です。

なので摩訶不思議な感じがより強く残ります。


短編だし全部で250ページくらいしかないのですぐ読めます。

いわゆる、村上春樹の語る「世にも奇妙な物語」ですね。

夏にはいいかも。