エリック・フォスネス・ハンセンというノルウェー人作家の小説。
25歳の時に書いたっていうから、今のおいらとほとんど同い年のときの作品です。
タイタニック号と共に沈んだ7人の楽師たちのお話。
豪華絢爛な世界の幸せ、のちに沈み行く客船の阿鼻叫喚とその運命を受け入れた音楽家の最後・・・
という映画みたいなストーリーを想像してたのに、下巻中盤になっても一向に沈まないのです。
まだかしら~まだかしら~、と、沈没を待ち望むものすごく悪い人になっていました。
物語は
そして、船は沈没した。
で終わっているので、誰か生き残ったのか、全員死んだのか、どうやって死んだのか、とか全くわかりません。
でも大切なのは結果ではなく、そこに至るまでの経過。
この作品は、楽師たちそれぞれがそれまでどのような人生を辿ってきたか、どんな思いでタイタニックに乗り込んだのかを描き、死を前にして何を思ったのかを想像させる物語です。
メンバーが最後に演奏したのが、バンドマスターが幼い頃母親に教えてもらったヘンデルのラルゴだった、
というのが作者の描く彼らの最期を表しているのだと思います。
映画ではパッヘルベルのカノンでしたよね。
大ヒット映画によって固められたタイタニック号のイメージを変えて、別の見方ができる作品です。