とある夫婦がおりました。
妻は絵を描くのが昔から好きで、夫もペンタブのプレゼントをして、妻の描く絵が好きでした。
しかし、ある時から妻は絵を見られたくないと言い出しました。
夫は、なぜ見られたくないのか、よくわかりませんでした。
そのうち、夫が家に帰ると、妻は描いている絵を中断して、寝るようになりました。
夫婦の会話は減り、次第に疎遠になっていきました。
夫が寝ると、妻は起きあがり、絵の続きを描き始めます。
絵の公開も、お互いに知っている垢とは別垢を作成し、鍵をかけて投稿するようになりました。
妻は携帯のやりとりに夢中になるようなり、まるで携帯の中で生きているように夫には見えました。
夫は、妻が離れていくやきもちから、ケンカをしてしまいました。
それから更に疎遠になったある日、夏コミを見に行きたいと妻が言い出しました。
夫も行ってみたかったイベントで、一緒に行こうと誘いました。
しかし妻は1人で行きたいと譲らず、夫はまたケンカをしてしまいました。
結局1人で行くことになった妻、しかしSNS上では1人で行くのが心細いと呟いていました。
そして、あるネットの友人(男性)と一緒に行くこととなりました。
更にしばらくして、突然派手な下着を買い始めた妻。
不安にかられた夫は、つい、SNSで愚痴をこぼしてしまいました。
すると、ネットの友人から夫へ、連絡がありました。
ネットの友人は、夫はそうゆうの興味ないから1人で行けと言われた、と聞いていたようで、焦っていた。
泊まる場所も、まだ未定だと。
更に、見に行くのではなく、サークル参加をする予定だったらしく、夜な夜な隠れて描いていたのは、その作品だったそうだ。
夫はその友人に断り、妻に直接話をした。
当然の如くまたケンカをしてしまった夫。
ケンカの末、1人で友人と行ってもいいからどんな作品を出品するのか見せて欲しいと頼む夫。
すると妻は、絵を見せるくらいなら離婚する、と豪語した。
夫には、全くそれが理解出来なかった。
それから約半年、ついに夫婦は離婚してしまった、とさ。
もちろん、理由はそれだけではなく、いろいろな事が山積みで、当然夫にも原因はあった。
独り身となった男は、絵描きにトラウマを覚えるようになった。
拭えない記憶。
絵描きには理解出来るであろう心理。
きっと、よくある心理。
しかし、男には未だに理解できぬ心理。
みんなには見せられるが、自分には見せられない心理。
距離を感じる心理。
それが、苦しい。