ソーダ水みたいなイヤリング
ソーダ水みたいなイヤリングを見付けました。
子供のころ、美味しそうな色したソーダ水を飲んだときのあの特別な喉越しと、無数の気泡が頬っぺたでシュワシュワッと弾けた感覚が甦って、わたしは一瞬で小学二年生の夏休みにトリップしたのです。
左真上にはギラギラと照りつける真夏の太陽。
たまに、虫取りをしている男の子を見かける以外は、ガランとしている日中の公園。
「あつーい」
「あつーい」
わたしと妹の真似して、コンクリートの団地が会話する。
「おいしいね」
「おいしいね」
ほんのひととき、暑さがシュワシュワ、シュワシュワと、ソーダ水に消えてゆく。
飲み終わった後、ラムネの瓶を縦や横に思い切り振って、底のビー玉をなんとかして取ろうとしたっけ。
あの味、感覚、音、匂いは、今も記憶の中で変わらず生きています。
まるでわたしのあたまの中に、此処とはまた別の空間が同時進行で存在しているみたいに生々しく。