『麻薬少女』に問う
ふわふわと飛んでいくしゃぼん玉をついつい目で追ってしまうように、わたしは自分の奥底から湧き出るよくない思考を無意識のうちに追い掛けてしまう。
そんな『麻薬少女』に問う。
何が怖い?
どうなることが怖い?
それは本当に起こっていること?
そんなに不安になりたいの?安心したくないの?
そんなに平穏な日々が厭なの?激情に溺れたいの?
そんなに愛されるのが怖いの?人を好きになるのが怖いの?
そんなに大切な人を傷付けたいの?自分を傷付けたいの?
そんなに内に篭っていたいの?現実に生きるのが厭なの?
そんなに可能性を殺したいの?ずっとそうやって苦しみたいの?
そんなに幸せを認めたくないの?不幸になりたいの?
矛盾だらけの思考に、一回突っ込んで、更にもう一度突っ込んでみる。
すると、思考は相殺されることがわかってきた。
自分が死ぬほど脅威に感じてきたことは、実は不安なことでもなんでもない。
頭ではわかっていても、雪だるま式に増えてしまった日常に存在する様々なトリガーから、トラウマ反応という身体感覚が呼び起こされ、それに支配されてしまう。
すると、恐怖に飲み込まれ、感じることも考えることも出来なくなってしまい、先に進めなくなる。
こうして同じ所を堂々巡りしてきた。
わたしに根付いている被害者意識は、現実を捩曲げ、復讐心を煽る。
そのエネルギーは凄まじく強い。
本当はどうなりたいんだ?
わたしは何を望んでいるんだ?
恐怖のパワーに圧倒されたとしても尚見失わないように、ここにある真の欲求を繰り返しなぞろう。
自分が危険に曝されているという妄想は、被害者意識が作り出しているものだ。
もっと感じよう。
現実を感じよう。
わたしが感じている恐怖は、本当は存在しないものなのだから。
Photo:k.a.n.a(青山女子短期大学写真部ギャラリー展出展作品『麻薬少女』)