❤スゥイートキャンディ❤️ (26)

サンクスギビングが過ぎ、とうとう12月となった。

キャンディは、12/5のマクベスを観にに行くための準備で忙しくしていた。
仕事の合間を見ては、アレヤコレヤと荷物をスーツケースに詰め込んでいた。

「えーっと、チケット、チケット!」と、大事なチケットを手に取り顔がほころぶキャンディだった。

チケット以外必要なものはないのではと思うほど洋服に関してはさほど関心がなく、ある物を詰め込んでいた。
その中に、アニーからのプレゼントであるカメオのブローチも入れていた。

「私って本当オシャレに関してはダメね…せめてアニーからのブローチでもつけたら映えるかな…」などと呟きながらテリュースに会いたいとばかり思って日々を過ごしていた。

NYのブロードウェイに行くには 前の日からシカゴへ入っていなければならず、キャンディは、アニー達の住むシカゴへ前日入りすることになっていた。

その頃アニーは、キャンディのことが気になっていた。
「キャンディのことだから、きっと流行なんて考えてないわね…
今では昔と違ってNYでのキャンディのスタイルは時代遅れよね」と、夫アーチーに向かって不安げに話していた。

「そうだ!キャンディにあなたの見立てでNYでうんと目立つ素敵なドレスをプレゼントするってのはどうかしら?」

するとアーチーも よしきた‼︎とばかりに指を鳴らして見せた!

こうして二人は、シカゴの街中のブティックへと向かった。

「アニー、イタリアではこういうのを着てる女性が結構いたよね!これなんてどう?」と、アーチーはアニーに向かって指をさした。

それは、深紅のベルベットのドレスで、胸元が広く開いていた。ほとんどデコルテ部分の素肌は丸出しとなるデザインである。そして裾の方がマーメード風な身体にピッタリ沿う感じのタイトでとても素敵なドレスだが、真冬なためその上に羽織るコートが必要であった。NYは、寒いところである。

アニーはドレスに合うコートを探した。カクテルドレスには、やはり、毛皮のコートしかないと思った。

こうして二人の作戦はキャンディを驚かせる物となった。

果たしてキャンディが素直に応じるか⁈

二人は目を見合せ笑った。

けど、キャンディのあの独特な金髪の巻き毛には深紅が似合うとアニーはアーチーの見立てに惚れ惚れしていた。

キャンディは、4日の朝早く荷物を持ってシカゴのアードレー家へと向かった。

サンクスギビングからまだほんの1週間ばかりだった。

それでも キャンディはアニー達に会えることは嬉しくて、久しぶりのようにはしゃいで見せた。ウィリアムアルバート氏もそのようなキャンディを見て嬉しそうであった。

「アニー、お腹の調子はどう?」
キャンディはアニーのことを気にかけていた。

「至って順調よ‼︎ありがとう~それよりキャンディ、あなたに渡したい物があるの!さあ、あなたの部屋へ来てちょうだい!」そう言うと、アニーはキャンディの荷物をアーチーに部屋まで届けるよう頼み、二人は二階へと上がっていった。

キャンディにはさっぱり分からなかったが、アニーは目を煌めかせていた。

シカゴの屋敷の自分に与えられてる部屋へ入ると、クローゼットの前に何やらぶら下がっていた。それは布をかけられていたが、服だとわかった。アニーは、それを指さし、キャンディに渡した。

「昨日、アーチーと二人で街まで行ってあなたのドレスを探してきたのよ!どうかしら?」と言ってアニーは微笑んだ。

キャンディは、そっと布を外すと、一瞬目を疑うかのようにその奇抜なドレスに見入っていた。

「まぁ~‼︎なぁに?‼︎この変てこりんな服ったら」
キャンディは、これが服なのか?と思ってあっけにとられた。

「ばかねぇ、キャンディったら、このドレスは流行なのよ!アーチーがあなたのために見立ててくれたんだから!
さあ、着てみてちょうだい」

キャンディは、躊躇しつつもそのドレスの奇抜さに笑いが止まらなかった。

アーチーの見立て…か。昔からアーチは風変わりなけれど洗練された衣装や、帽子を身に纏っていたが、キャンディにはいつもおかしくてならなかった幼い頃を思い出していた。

暫く笑っていたが、意を決してそのドレスに袖を通すことになった!
明日の予行練習に。

アニーはキャンディの姿が早く見たくて「まだなの?」と着替え室にいるキャンディに声をかけながら、キャンディの荷物の服を確認していた。