翔side
何故だ…。
「翔くん、いーっぱい食べてね♡」
「い、いただきます…。」
おかしい…。
「ね、美味しい?」
「う…っ、うまい…よ。」
「よかったぁ!」
テーブルの上に所狭しと並べられたアジアンテイストな料理達。
そのどれにももれなく俺の苦手とするパクチーが入っている。
昔は潤も嫌いだったパクチー。
何度も番組で食わされているうちに潤はいつの間にやら克服してしまい…
俺と潤、「この二人は苦手なんで〜」って言われるのがなんだかこそばゆくて楽しかったのに。
潤は俺を差し置いて大人の階段を登っちまった。
俺も慣らそうと努力はしたものの、未だ苦手分野。
潤もそれは知ってるはずなのに最近やたらとパクチーを使った料理が出されることが多い。
せっかく作ってくれたのだから食べない訳にもいかないし、ましてや無理だなんても言える訳もなく。
ただただヤツの存在を感じないよう精神統一をし、口の中に収めていく。
ただ、やはり相手は手強い。
風味の主張が強い!
消そうったってそうはいかない。
いつまでも口の中にいる!
めっちゃいるってー!!
…おっと、取り乱した。
よく彼女の手料理が口に合わない時に言うか言わないかみたいなのあるけど、世の男達の意見はなんだったっけ?
何が正解?なんて言えば正解?
下手に言ったら傷つけてしまうかもしくは怒らせてしまうか…。
潤はどっちタイプなんだろう…。
「う〜ん…」
いつの間にやらパクチー料理がモゴモゴと口いっぱいに。
頭の中もいっぱいだが口の中はもっといっぱい…
「…うっ!んぐっ!?」
「翔くん!?」
潤が慌てて駆け寄り水の入ったグラスを差し出してくる。
「お水!ゆっくり!」
水とともにパクチーが俺の体内に流れ込む。
よし、なんとか生還。
「あっぶね…」
「翔く〜ん、いくらパクチーが好きだからってそんなに詰め込まなくても。」
………ん?………好き?
「なにを?」
「え?」
「何が好きだって?」
「パクチー…でしょ?」
「はぁっ!?」
なんじゃその思い違いは!
「…俺、好きって言ったっけ?」
「え、だって、こないだデスマッチでパクチー食べてて…」
「いや、あれはホントに感じなかっただけで好きとかどうとかでは…」
「美味しいって…」
「だから、それも餃子が美味かったってだけで…」
噛み合わない会話のやりとりが繰り返される。
なるほど、、そういうことか。
「そうなんだ…、無理させてごめん…。
これ、下げるね…。」
「ちょっ、待っ…」
「無理して食べなくていいし。」
「待てって!」
片そうとする手を引き止める。
「なんで?嫌いなら、不味いなら無理してまで食べて欲しくないよ!」
「ま、不味いなんて一言も言ってないだろ!」
キッと俺を見る眼光が鋭くなる。
あぁ、最悪な結末。
楽しい食事から一転言い争う事態に。
「結局はただの俺の勘違いじゃん。
バカみたい…翔くんに無理させて…、
無理矢理食べさせたみたいで…。」
暴発したかと思えばシュンとなる。
落ち込むとわかりやすいんだ、コイツは。
「まだ、完全じゃないけど…
それでも俺、だいぶ克服はできてきてるんだよ?
潤が平気になった今、俺もいつまでも好き嫌いしてられないっていうか…
潤ともっとたくさんの食事を楽しみたいし、何よりも、、
潤と一緒っつーのがいいっていうか…その、一緒って響きがなんかパワーワードていうか…」
やべ、なんか俺…
超絶恥ずいこと言ってるんですけど…?
「翔くん…、俺と一緒がいいの?」
そしてまた潤の目がキラキラしてる。
ぱあぁぁ!ってよく漫画で文字起こししてるみたいにわかりやすく。
「昔から、そうだろ。
お前は俺と一緒じゃないとって、そうやってバク転だって頑なにやらなかったじゃん。」
「それ!そうだよ!
番組使って先に抜けがけしようとして!
あれでできるようになってたら俺も練習しなきゃって思ってたんだよ!
今更バク転なんて無理、身体死んじゃう。」
「俺もあん時は身体バキバキで…」
「バク転に比べたらパクチーなんて、ねぇ…。
でも大丈夫!俺が克服させてあげる!」
「は?」
「俺みたいに食べ続けてたらいつか食べれるようになるから。」
「それって、まさか…」
「これから毎日パクチー料理、食べようね♡」
「ま、じ?」
「毎日翔くんちで作って待ってる♡」
「克服したら?」
「おめでとう。」
「オイ、そこはご褒美だろ。」
急にスンッてなるな!
潤と毎日会えるのは嬉しい。
俺の為に作ってくれるのも嬉しい。
プラスアルファで可愛い潤を拝めたらもっと嬉しい!
「どうせやらしい事考えてんでしょ…」
「あ、わかった?」
「…ったく、変態。」
「じゅ〜ん、愛の力で乗り越えような♡」
その後、残ったパクチー料理を平らげ、秒で克服したのは言うまでもない…。
(`・3・´)愛の力って偉大だね!
おわり
【別アカより再掲載】