ニノside



遠くに見えるはカメラがなくともオーラがでまくってるあの人。

「あ、じゅ、、」


おぁ…、やっば。

「じ…、じぇ〜い!」

「ん?あれ、ニノ?」

思わず昔のまま潤くんて呼びそうになって。
慌ててオフィシャル呼びにした。


「久しぶりー!元気?」

「元気も何も…。
なにかしらグループLINEしたりしてるじゃん。」

「あはは!そうだよね。
なんか会うのは久しぶりで、ついつい。」

確かに。
久しぶりに見る彼の笑顔。
お互い元気なことも仕事が順調なこともわかっている。

ただ、会えていないってだけ。


「ドラマお疲れ様。
で、次はもう大河の準備?もう動いてんでしょ?」

「うん、少しづつね。
俺も撮影に入るまでにもっと勉強しておきたい事もたくさんあるし。」

「相変わらず真面目だねぇ。」

「当然だろ、大河だよ。
あの、た・い・が!」

「知ってますよ、長丁場ご苦労さまです。」

「こんなに長い撮影に入るのは初めてだからなぁ。
色々と撮影以外のことまで考えちゃうよ。」

「潤くんの差し入れご飯食べたいなぁ。
めちゃくちゃうまいやつ入れるんだろうなぁ。」

「さては……見たな、会見。」

天を仰ぐオレを上から見下ろす形で彼はじっとこちらに視線を注いでいる。

「期待値は高いよ、潤くん♡」

「潤くん、だなんて昔みたいに甘えたって無駄…」




「おーい!!松潤ー!」

言いかけて、それを遮るよく通る声が響く。

「…!翔くん…!」

それはきっとこの人にとって一番よく届く声。 


「事務所に来てるって聞いたからさ、
探したよ。」

「探して…くれたの…?」

「うん。」

「わざわざ?…俺を?」

「そう、渡したい物があってさ。コレ。」

息もまだ整わないうちに翔さんは潤くんに何かを差し出した。


「土産だ。」
 
「わぁ!おみやげ?俺に?」

「……なにコレ。」

翔さんからの贈り物にわかりやすく感動して絶句してる潤くんに代わり、オレがツッこんでみる。


「縄文ポシェット。 
なかなか自ら買わなさそうなやつ。」

「なかなか個性的で。」

「あ、ありがとう!翔くん!」

めっちゃ喜んでる。
いや、本当に?


「松潤、古美術品とか好きじゃん。」

「うん!」

「歴史とかも好きそうじゃん?」

「うん、うん!」

嬉しすぎて飛び跳ねているワンコのように潤くんはなんて素直な反応をするのだろう。
とても同い年のアラフォーには見えん。


「だから、これがいいかなって。」

……その発想は謎。


「ありがとう!大切にする!」

翔さんはわかってるのかわかってないのか知らないけど。

潤くんは翔さんからのもらったものはすべてが宝物だし、大切にするのは当たり前の世界だし、全身全霊で嬉しいと伝えるし。

こんなに可愛らしい人、世界中どこ探したっていないよね。


ねぇ、翔さん。
わかってる?




「見て見て!ニノ!もらっちゃった♡」

「オレにはないんすか?」

「松潤は大河もあるし、歴史物はピッタリだろう。」  

「縄文と江戸って…
時代バグっちゃってんのよ。」


ま、いっか。
なんだかんだで二人、楽しそうに笑っているし。

一歩踏み込んだその先の幸せを二人がいつになって気づくのかわからないけど。
てか、当事者にはわからないもんかね。
互いにそこまで幸せオーラ醸し出しといて。

でも今は、そんなもどかしい青春時代を過ごしているような二人を見ているだけで。
なんだかハッピーな気持ちになれるって不思議だよね。





おわり





【別アカより再掲載】