潤side



翔くんの腰にしがみついて、顔を隠す。

素直になろうと思ったのにいざ行動に移すとなんだか女々しいことをしてしまったのかと恥ずかしくなってしまった。


「ご、ごめんっ!」

「潤」

「わがまま、言って…」

慌てて撤回しようとしたけどもう遅い。
離そうとした身体は反対に翔くんにホールドされてしまった。

「なにがわがままだって?」

「いや、こんな時間だし、翔くんも早く帰って休んだ方がいい…」

「やだね。」

「翔くん!ダメだよ…っ、、ん…!」

あっという間に唇を塞がれて発言は飲み込まれる。

「ん、はっ…」

俺は両手が使えない。
貰った物を翔くんに押し潰されないように避けるのが精一杯だ。


「しょ…く、ここ、玄関…、、」

「だから?」

聞く耳持たず。

「お花…、ケーキも、あ…」

「残念、拒絶は難しそうだ。」

クスッと満足気に笑う。
その翔くんの黒目に俺が映るのが見える。

俺は今、どんな顔をしてるの?


「すっげ、可愛い。」

「や…ぁっ!」

心を読まれたか。
翔くんはわざと耳元に唇を寄せて囁き、ぺろっとひと舐め。
弱いの知ってるくせに。…だから、か。

「俺、潤に甘えられるとゾクゾクする。
潤に触りたくて堪んなくなる。
スイッチを入れたのは潤だよ?
ね、どうしよう?」

聞かないで…。

俺が翔くんを本気で拒めると思う?
この状況で?翔くんに触れて?

俺も…、俺だって…、、

我慢できない。



「翔くんで、いっぱいになりたい…。」


ごちゃごちゃと考えてる頭をリセットしたら、

「一緒に、いて…、朝まで一緒に…」

やっぱりこれしか残ってなかった。


懇願するように俺から唇を寄せる。
擦り寄るように翔くんの肩にもたれた。

相変わらず両手には花とケーキ。
だから、抱きつきたくたって手が使えないんだって…。


「潤に求められるって、この上ない幸せだよ。
俺だって離れたくない、
潤が許すなら片時だって離したくはないんだ。」

「じゃあ…、早く部屋に…」

「だから、、よっ、と!!」

「わあぁっっ!」

フワッと身体が宙に浮く。

まさかのお姫様抱っこ!?
翔くん!どこにそんな力が!?
仕事終わりだよね!?


「鍛えとくとこういうとき役立つんだな。」

「待って!歩けるって!」

「暴れんな、ケーキが傾くぞ。」

さっきは潰そうとしたのどこの誰!


「今更照れんな。」

「照れてるとかそういうことじゃ…、」

「エ ッ チの時みたいに甘々に甘えて来いよ。
いつだってそういった潤は大歓迎。」

図星を指される。
翔くんに抱かれていると理性なんてあっという間に消えてなくなってしまうのは事実。
どこまでも乱れて、自身をさらけ出し、
翔くんの波にのまれていく。


「まぁ、結局のとこ、どんな潤も好きって事には変わりな…」

「…しょおくん……、」

「ん?」

「早く…ベッド、行こ…?」

「………りょーかい。」





―――



「あぁっ!ケーキ!
冷蔵庫入れてないっ!」

「ふぁぁ~…、大丈夫だろ〜、保冷剤くらい入れてある…」 

「保冷剤なんてそう何時間も放置してたら意味ないってー!」

「…あ、そか…。」

飛び起きて叫んだ俺に起こされ、あくびをしながら起きてきた翔くんは頭が回っていないらしい。


「クリーム溶けてないかなぁ?」

「夏じゃないし、大丈夫っしょ。」

「もー、大丈夫大丈夫ってそればっか。
でも空調も効いてない部屋で一晩中…。」

中身を確認すると見た目にそれほど変化はないみたいだけど、すぐに冷蔵庫に閉まった。

「後で一緒に食べよ?」

「俺はいいよ、潤が食べなよ。」

「一緒に食べたいの!」

「ハイハイ。
ほら、戻っておいで♡」

裸のまんまの翔くんが両手を広げて待ってる。
翔くんのぬくもりの中に戻ると安心感が半端ないな。


「翔くん、今日のスケジュールは?」

「えーと…、、今日は一日中忙しいなぁ。」

「えっ!仕事、時間いいの!?」

「潤と、な。」

「………俺?」

「今日はオフだよ。 
一日中いっぱい愛してやるから、…覚悟しな。」

「まさか…、、翔くん…」

「記録更新は間違いなさそうだ。」

するりと右手が伸びてきて俺の腰をなぞっていく。


「明日動けなくなったらゴメンね。
仕事はオフだったけど別の予定は入れてないよな?
ゆっくり休まないと、大事なカラダなんだから。
なるべく……優しくする…。
でも、止めれない。」


おでこにキス。
可愛らしい仕草もここまで。

俺のスケジュールもバッチリ把握済みな翔くんは朝からゾクゾクする程セクシーだ。



おわり



【別アカより再掲載】