【ハグとキスとうちのごはん】
潤side
「よし!できた♪」
お弁当箱のフタを閉め、大判のランチクロスに包む。
「さとにぃ〜、お弁当だよ〜。」
学校に行く支度を整え、最後にさと兄の所にお弁当を渡しに行く。
それでボクの朝の任務は完了する。
「お、サンキュー。
いつもありがとな。」
「うん!」
さと兄はふわっふわな笑顔を浮かべながら、ボクからお弁当を受け取ると頭を撫でてくれる。
ボクはさと兄に頭を撫でられるのが好きなんだぁ。
カズはいつまでもガキじゃないんだって拒むけど…。
本当は構われて嬉しいくせに、、素直じゃないんだから。
「さと兄は今日遅いの?」
「ん〜、、わかんない。」
「だよね…」
さと兄は美大生で大学に通う時間はその日によって不規則。帰る時間も色々だ。
アトリエと化しているこの部屋も一見ごちゃごちゃしているようだけど、秘密基地みたいでなんだか落ち着く。
「なるべく早く帰ってくるよ。
潤とカズの作るご飯、一緒に食べたいしね。」
「うん!待ってる!」
「遅くなるようなら連絡するから。」
「りょーかいです!」
5人で食べるご飯が一番好き。
なんでも食べてくれるさと兄、口いっぱいに頬張って食べるしょおくん、美味しいよ!ってたくさん褒めてくれるまぁくん、空になった食器をカズと見て「今日も大成功だったね」って喜びを分かち合う瞬間。
みんなといる空間がすごく好き…。
「潤、いってらっしゃい。」
「いってきます、さと兄。」
両手を広げるさと兄にギュッてする。
このハグだって毎朝の恒例……
「潤!もう行くのか!!」
「しょおくん?」
さと兄とのハグを終えると後ろからしょおくんが追ってきた。
「もー、しょおくん。ネクタイ歪んでる〜。」
3日に1回はなぜか失敗してるしょおくんのネクタイ。
「だって、潤がっ、知らない間にキッチンからいなくなってるから!
俺、探しちゃったじゃん!」
「いるよぉ。
だってまだカズいるし〜。」
ボクとカズはいつも一緒に行くんだから、カズがいればボクもまだ家にいることになる。
ていうか、1人で行くなよって言い出したのはしょおくんだよ?
しょおくんは誰よりも心配性なんだ。
「お、そ、そうか…。
そうだよな、潤が俺に黙って行くわけないもんな。」
そっか…、焦ってたからネクタイぐちゃぐちゃなのね…。
「ボクがしょおくんとのちゅーを忘れていくと思う?」
「確かに。」
納得したしょおくんはさと兄と同じように僕を引き寄せるとギュッといってきますのハグをする。
そして、ちゅっとほっぺにキスをする。
コレをするのはしょおくんだけ。
おはようとおやすみ、いってきますとただいま。
物心のついた時からボクはしょおくんのキスが大好きで、毎日ねだったら毎日してくれるようになった。
まだ本当のキスの意味を知らないボクは、
思うがままに…、本能のままに…。
ただただ、しょおくんが大好きだから…。
「翔〜、そんなにガッチリ潤を抱きしめてたらいつまでたっても潤が学校行けねぇだろ。」
「お、おぉ、そうだな…」
「帰ってきたらまたちゅーしてね♡」
「じゅーん♡」
しょおくんの甘い抱擁はなかなか終わりそうもない…。
「翔さん、もういいすか?」
「…あ、失礼。
カズ!潤!気をつけてな!
俺も後からすぐ行く!」
「潤、行ける?」
「うん、バッチリ!」
「「いってきま〜す!」」
さと兄としょおくんに見送られてカズと家を出た。
「帰りに買い物行くって行ってもあまり学校にお金持っていけないし…、さっき冷蔵庫見たらカレーの材料くらいはありそうだったよ。」
「そう?じゃ、カレーにしちゃう?
さと兄カレー大好きだし!」
「翔さんが好きなの聞いてたじゃん、いいの?」
「しょおくんはボクの好きなのでいいって♡」
「あの人は潤が好きな物は好きな人だからね。」
「じゃあ、サラダはボクの好きなトマトのサラダにする〜♡」
「じゃ、トマト買ってこ。」
カズとこうして夕ご飯の献立を相談しながら話すのは楽しい。
ボク達は双子だからかな。
話すテンポとか波長がすごくよく合う気がしてる。
淡々と返すように見えて、カズはもうボクの話すことをわかって喋ってるんだろうな…。
むむむ…、カズってもしかして超能力者?
「潤、オレ、超能力者じゃないからね。」
「え!!?」
うそー!心の中読まれた!?
「ま、ま、マジで?」
「誰に似たんだか…。
心の声、漏れちゃってんのよ。
しかもその言い方、翔さんそっくり…。」
常に一緒にいると似てくるって言うよね。
兄弟だけど夫婦みたいな…?
毎日ちゅーしてるから、しょおくんがボクに憑依でもしてるのかな??
つづく
