「お疲れ様〜。」
誕生日当日、クリスマスイブ。
定刻通り収録が終わった。
「行くぞ、潤。」
「…あ、うん。ちょっと…」
特段急ぐこともないのに翔ちゃんは松潤を急かす。
「あ、相葉くん!
改めてお誕生日おめでとう。コレ…。」
ラッピングされた包みを差し出してくる。
「え!用意してくれてたの!?」
「この前ショップのオンラインカタログ見てて、いいなって言ってたニット。
別件でお店の近くまで行ったから寄ったんだ。
もう今は完売しちゃってるみたいだからレア商品だよ。」
「マジで!?
えー、嬉しい!ありがと!!」
翔ちゃんを待たせてまで俺にプレゼントを渡してくれたのがなんだか嬉しい。
今日という日のメインイベントは翔ちゃんに奪われちゃったけど、今のこの時間は俺を優先してくれている。
「潤!!置いてくぞ。」
「松潤行って?」
「すぐ行くっ…!
じゃあね、相葉くん!
ハッピーバースデー!」
明らかにイラついてる翔ちゃんの声に「待ってー!」と言いながら背中を追いかけて行った。
それでもお祝いの言葉を残し、最後まで手を振って去って行った。
「でたよ、翔ちゃんの独占欲。」
「案外束縛されたいタイプ?松潤て。」
「好きなら別にいいんですけど…。
二人がそれでいいんなら…。」
「いいんだよ。
愛し合ってる証拠だろ。」
「うーわ。リーダーが愛とか語っちゃうわけ?」
「語るだろ。
にしても、甘くないよな、あの二人。」
「人のいるとこで甘えると思います?
恥ずかしがり屋のあのJが。」
「だな。」
ニノもリーダーも深入りしないタイプ。
ただ松潤が翔ちゃんに仕事以外で意見しているとこを見たことがないから、お兄ちゃん達は何かと末っ子が心配。そんなとこ。
──────────
「飲みに行きます?」
ニノとリーダーが気を利かせて誘ってくれたけど、行く場所があるからと断った。
今日松潤と一緒だったら、来ようと思ってたこの場所。
イルミネーションが綺麗に見えるよって教えてもらった穴場スポットだ。
装飾がある近くの場所は人が多いけど、少し離れた高台には人影も少ない。
さすがに近くほどの迫力はないけど、それでも暗闇の中、遠くに光る電飾は煌びやかで綺麗だった。
帰っても一人だしと思って立ち寄ってみたけど、一人で見たら余計に虚しくなって、早々にその場を離れた。
「酒でも買って帰ろっかな…。」
ニット帽を被り、マフラーで口元まで隠してるからコンビニくらいなら入れるだろ。
軽い気持ちでコンビニを目指す。
家の近くのいつものコンビニまでもうすぐ。
LINEの通知音がして、ケータイの画面を開いたまま角を曲がった。
前からのドンっとした衝撃にケータイを落としそうになる。
「わっ!」
「…あっ!いたっ…!」
その場所は暗くて視界が悪い。
ケータイの明かりで照らすと人が倒れていて、ぶつかってしまったんだと慌てる。
「大丈夫ですか!?
すみません!余所見してて…!」
しゃがんで駆け寄ると、その人はパーカーのフードを被って、マスクをしていた。
うわっ、怪しっ!
いや、今はそんなこと気にしてる場合じゃない。
「す、すみません、僕も…下見てたから…。」
男の子?
掠れた声で弱々しい。
「立てます?」
地べたにいつまでも尻もちをついたままじゃ冷たい。
手を差し伸べて、起き上がらせようとした。
「痛っ!」
「どこかぶつけて…」
「足…捻っちゃった…」
「え!怪我!」
「大丈夫です、なんとか……つっ…」
「危ないよ。」
明らかにふらつく身体を支えてあげた。
「俺のせいだ。送りますよ。」
「いえ、そんな!僕が悪い…」
顔を上げたその隙間から目が見える。
大きくて透き通る目は愛おしい君に似ていた。
「乗って?」
咄嗟におんぶをしようとその彼の前にしゃがみこむ。
「だ、大丈夫ですから!」
遠慮する彼。
そんなとこも君に似ている。
「近く?」
「…すぐ近くですけど。」
「俺ね、トレーニングしてるの。
君くらい余裕だよ。」
「でも…」
「いいから、早く!俺の気が済まないから。」
「……すみません…。」
そっと後ろから伸びてきた腕と背中にかかる重心。
おぉ!軽っ!!
「乗っ…た?」
「乗りましたけど…」
あまりにも軽いから確認してしまった。
「よいこらせっ!」
彼を背中に乗っけて立ち上がり、案内をしてもらった通りに辿り着いた場所は古びた一軒家だった。
「近くにこんな家が…」
何年かこの地区に住んでるけどこの場所は初めてくる場所だった。
「ごめんなさい。こんなことまで…
僕の不注意だったのに。」
玄関を開けてゆっくりと中に入ると小さな灯りをつけた。
そして、彼は被っていたフードを取り、マスクも外す。
「あっ…」
「本当にありがとうございました。
風邪引いてるので…。
マスクまでしていて、怪しかったですよね。」
うん、確かにそれは第一印象はね。
だけど、だけどさ…。
「君さ、誰かに似てるって…言われない…?」
彼は、ん?という表情をして、
「言われませんけど…。」
そう、言った。
「誰かに似てますか?」
似てるってもんじゃない。
双子なんかじゃないかってくらい瓜二つ。
「……いや、」
あまりの衝撃で何を思ったか否定しちゃったけど。
『ハッピーバースデー。』
さっきそう言ってくれた君の顔が脳裏に浮かぶ。
目の前にいる彼は松潤そっくりだった。