潤side



「うそぉ…、外出れないじゃん。」

「ホント、イタズラしたくなる…。
カワイイ、キミ…。」

「…え?なに?」

「んーん、なんでもないよ。」

「…?」


まあ、いっか…。




それよりも、

「確認してくる!」

ドアの入口にある姿見の鏡に自身を映して、ニノに言われたように鎖骨付近を確認…
するまでもない…。

見えるか見えないかのギリギリラインかもしれないが、ちょっと前屈みにでもなればそれはくっきりと色を残している。

「マジか…。」




「あー、悪ぃ。メシ途中…」

「ちょっと!櫻井さん!」

電話を終えた櫻井さんが部屋から出てきた声が聞こえて、すぐさまリビングに戻る。
そしてその胸元の服を掴んでグイグイと引っ張った。


「な、なんてことしてるんですか!
こんな目立つとこに、き、キス、キスマークとか…」

うわっ、言葉にしたらすごい恥ずかしいじゃん。


怒ってるように食いついてるのに、言われてる櫻井さんは全然ピンと来ていない様子でポカンとしている。

「あぁ、いいだろ。別に。
まだしばらくは撮られる仕事もないんだし。」

「仕事どうこうだけじゃないんですよ!
僕だって外に出る用事が…」

「なんだ?用事とは。」

「まだ引越しだってしてないし、劇団に挨拶も…
元のケータイだって解約とか、CDショップや本屋さんにだって行きたいし。」

「隠したいのなら、ストールでも巻けばいい。」

「この暑いのに!?」

空調の効きすぎている建物も確かに多い。
でも外を出歩くのに暑いよ。
女性ならともかく…。


「日焼けは大敵。
潤は色素が薄いから、健康的な小麦色の肌などは似合わない。
これから潤のアピール戦略を考えるのは俺だ。
だから、日焼けはするな。
ストールを巻けば首も焼けないし、ちょうどいい。」

「都合のいいこと言っちゃって…。
一番の原因は櫻井さんなんですよ…。」

拗ねたように言えば掴んだままの僕の両手をそっと優しく包み込んだ。



「……櫻井さ…」

顔を上げようとすれば、尖らせた唇に不意打ちに軽くキスを仕掛けてくる。
触れた…と思ったら、すぐに離れて、ちゅっと可愛らしいリップ音が響いた。

なに、これ。

いつもされるような強引で激しいものじゃない。
櫻井さんのキスの引き出し、いくつあんの…。



「覚えてないのか?
お前が俺を抱き込んで離さないから、ならばと思って首元を攻めたら、もっともっと…てお前が言ったんだぞ。」

「…はっ!!?」

ぼぉっとする脳内にドカンと爆弾が投下されて、我に返った。


「耳から首筋にかけての声の甘ったるさと言ったらだな…」

「ちょ!ちょっ!余計なこと言わないでいいから!」

慌てて口を塞ごうとしたら、その手を取られて反対に捕まってしまう。


「出歩けないくらいにつけてやってもよかったんだぞ。」

「……んッ、ひゃっ…ん」

耳に触れた唇から発せられた声にゾクゾクしたかと思えば、パクリと甘噛みされて変な声が出た。


「ちょっとぉ~、朝からサカんないでくれます〜。」

すぐ隣には頬杖をついたニノの不服そうな顔があって、顔から火が出そうなくらいに恥ずかしかった。
穴があったら入りたいとはこのことだと身をもって知る。

この人達には恥じらいという概念がないのだろうか…。

ここに来てからというもの、次から次へと恥ずかしい事ばかりされて寿命が縮まりそうだよ。









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