せっかくなので先日の山の日話のつづきを書いてみました。
リクエストありがとう♡







「にーの♪なにしてんの?」


ひとり早くに取材を終えたオレ。
いつもならすぐに帰るのだけど、さっき途中でセーブした所がキリが悪くて再びアプリを立ち上げた。

その直後だった。

満面な笑みを浮かべ、目の前には両手で頬杖をつき、そこにちょこんと整った顔を乗せた潤くんがいた。


「……どしたの?えらいご機嫌で。」

「えー、いつもと一緒だよ♪」

「そ、そうすか…?」

いや、どっからどう見ても空気が軽いよな。

いつもあの日……、山の日前後はあんまり機嫌がよくないんだよなぁ。
山がどうとか、気にしなきゃいいのに…。
そんなとこがこの人らしいっちゃ、そうなんだけどさ。


でも今日は違う。
山の日から一週間。
そういや、今年はあんまり荒れた様子も落ち込んだ様子もなかったような…


「ね、ね、今日って何の日か知ってる?」

「んー、第3日曜日。」

「もー、まんまじゃん!
じゃなくて、18日って何の日か知ってる?」

「えぇ―…」

オレが少し考える素振りをすると、向かい側にいた潤くんは今度は隣に来て覗き込むような上目遣いを向ける。


あー、その顔やっちゃいけないやつよ。

メンバーだからかろうじてセーフ…、いや、揺さぶりをかけつつの微妙にアウトか?
オレら以外の奴らは完全にアウトだな。
うん、手も足も出ない。
ノックアウト。


「今日はね、風の日なんだって♪」

嬉しそうに楽しそうに言い放つこの子にピンときた。

なるほど、翔さんの受け売りね。


「上手いこと考えんね、翔さんも。」

「えっ!なんでわかったの!?」
 
ビックリされても…。
こんなにわかりやすいのに。


「それでご機嫌なんだ。
うまいこと丸め込まれたってわけね。」

「ニノは驚かないんだ。」

「まあまあ驚きはしましたよ。
よく考えたなって。」

「伝わらないよ、そんなんじゃ。」

オレの反応の薄さにむぅっと頬を膨らめる。


潤くんはホント表情豊かだよなぁ。
コロコロ変わるその表情は魅力的。

こんだけ感動されたらね。
翔さんのドヤ顔が目に浮かぶわ。



「ちぇっ、ニノには敵わないなぁ。
俺なんて考えもつかなくて、そんなこと。
でもさ、翔くんが山の日だけじゃなく、風の日を考えてくれてたことが嬉しかったんだ。
まぁ、毎年気にしちゃう俺も俺なんだけどね。」

照れたように笑う潤くんは素直で不器用で、そんなところも愛らしい。
やっぱり翔さんの一番大切な人であり、オレらにとっても大事な人。



「ね、じゃあ、風の日記念で飲みにでも行きますか。」

「……マジで!?」

ただでさえ大きな瞳がさらにまんまるくなった。


「なんなのよ、その鳩が豆鉄砲くらったみたいな顔は。」

「珍しい…。
ニノからの誘いなんて。」

「でしょ?」

「あ、でも翔くん、早く終わるからって…」

「いーいー、そんなの。
今日は風の日なんだから。
ねっ!」

「んー…」



「その話乗った!!」

バタンと開いた扉から相葉さんが飛び込んでくる。

「あなた、いつから聞いて…」

「いいじゃん、いいじゃん!
風の日いいじゃん!
俺も潤ちゃんと飲みたかったんだよね。
行こ行こ!!」

「んー…、そぉ?じゃあ…」

普段誘わないオレと押せ押せな相葉さん。
いつも翔さんのガードに阻まれてなかなか連れ出せないお姫さま。

その牙城を崩すのは今だ!




「ちょーっと、待ったぁ!!」

………来たよ。
厄介な人が戻ってきちゃったよ。


「潤は俺が連れて帰んの!
飲みになんか行かないの!
さ、帰るよぉ。
待たせてごめんなぁ。」

うーわ、甘ったるい顔して。


「なんで!ずるいよ!
いっつも翔ちゃんが独り占めしてるんだから、たまにはいいじゃん!」

お、相葉さん、頑張れ!


「しょおくん…。」

「ん?」

「今日は風の日って翔くんが教えてくれたでしょ?
だから風の日も大事にしたいなぁって。
ね、少しだけ、飲みに行ってもいい?」

またあの上目遣いで翔さんに詰め寄る。


「…うっ…!」

あ、撃ち抜かれた。


「少しだけだぞ。
今日という日が終わるまでには帰ってこいよ。」

は?シンデレラかよ。


「うん!ありがと!
ほら、ニノ、相葉くん!行こ。」

「おし!オイラも〜。」 

「コラコラ、あなたは山でしょうが。」

「えー、ずりぃじゃん。
オイラはいつ潤に甘えたらいいんだよ。」

「どさくさ紛れに甘えないの!長男が。」

「ごめんね、リーダー。また行こうね。」

「どうせ翔ちゃん付きだろ。」

「言い方!本人いるんですけど。」




とにかく……

翔さんは自分から言い出した風の日に自ら大切な潤くんを差し出す羽目に。



「じゃあ、ちょっと。
潤、おいで?」

「ん?どうした、……っ!?」


翔さんは仕返しとばかりにオレらに見せつけるように潤くんを引き寄せ…

ぎゅってして、ちゅってした。



今日はなんの日。
潤くんが幸せである日。
なによりだ。



おわり。





無理やりな風の日話(笑)

ニノ語りでしたー。