【対峙】



「じゃ、お疲れさまー。」

一番にニノが楽屋を後にする。


「お疲れさんな。」

続けてリーダーも。
俺の方にポンと手を置いて、ふにゃんと微笑んで出ていった。


「……じゃあ、俺も次の仕事あるから。」

翔ちゃんも荷物を掴んで立ちあがる。

「おつかれ。」

「しょ…、」

微かに言葉を発した松潤に一瞬、
そう、ほんの一瞬だけ…
その声に反応したはずなんだ。

だけど、振り返ることなく楽屋を出て行く。



やっぱりダメだ。

俺は松潤を楽屋に一人残し、翔ちゃんの後を追った。

 
「翔ちゃん!!」

エレベーターに乗ろうと立ち止まっていた翔ちゃんは俺の声に振り返る。

「なに?」

「なに?じゃないでしょ。
松潤の声、聞こえたんでしょ?」

「……いや。」
 
嘘をつく翔ちゃんにイライラする。


「恋人より仕事が大事かよ。」

「え?」

「そりゃ、松潤はそんなこと言わないよ。
同じ仕事してんだもん。
翔ちゃんの立場も自分の立場もわかってる。
だからって、なんで悲しませんの?
なんで笑顔を奪うんだよ!」

「関係ないだろ、相葉くんには。」

冷たく放たれた言葉。

翔ちゃん、ずるいよ。
どうせ部外者だよ、俺は。


でも…

「関係なくない…。」

「これは俺と潤の問題だから。」

「関係あるんだよ!
俺は松潤が好きだ。
だから松潤を泣かせる翔ちゃんを許せない。
松潤の笑顔を奪う翔ちゃんが許せないんだよ!」


言ってしまった。

松潤のあの切なげな顔がどうしても頭から離れなくて。
あんな顔、見たくなくて…。



ポーン!と間の抜けた音がしてエレベーターが開く。


翔ちゃんは黙ってそれに乗り込むとカチカチとボタンを押した。

ふぅっと息を吐くと、鋭い視線で俺を見据えた。


映画のワンシーンみたいに両側から扉が迫る。

「相葉くん。潤は渡さない。」



そして、扉は閉じた。