潤side



「はぁー…。」

しょおくんが熱を出してしまった。
絶対僕のが移っちゃったんだよ。
もっとちゃんとダメだって言えば良かった。
あんなに何度もキスしたら移らない方がおかしいよ。
そう、あんな濃厚な…。


「はぁぁー…。」

「潤くーん。何回ため息つくの。
翔さんだって、わかっててしたんだから潤くんが悩むことないってー。」

話してもないのにわかったように話すカズに疑問を抱く。


「えっ?なんて?
なんで、その、したって…」

「だってオレ忠告したよ。
翔さん、風邪ひかないようにって。
それなのに潤くんと入れ替わりで熱出すなんて…そういうことでしょうよ。」


カズに見透かされて、顔から火が吹きそうだ。
僕達が何をしてたかまで知ってるんじゃないかって…。

「そんなに顔が真っ赤になるようなこと、してたんだ。」

「ち、違うよ!
これは、今、教室が、暑いから!」

「真冬の教室がねぇ。
休み時間で窓も開いてるのにねぇ。」

「いいの!暑いの!」

カズはわかってて…意地悪だ。


「でもいいじゃん、潤くんは治ったんだし。
一体翔さんはどんな特効薬を使ったんだか。」

特効薬…?

しょおくんがしてくれたこと…
おかゆを作る。愛情だけはたっぷりと。
キスをした。何度も…深く。
我慢出来ずにしょおくんの手の中に自身を放った。熱があるのに何してんだと誰かにつっこまれそうだ。
誰にも言えないけど…。       


どれが正解かわからない。

でもこの中に正解はあるはず。
だってその答えは僕自身。

すっかり良くなったんだから。


今度は僕の番だ!

張り切る僕を目の前に、カズの言葉はただ空を切るだけだった。


「また移し返されないでよー。
あー、聞いてない…。」