翔side



『しょおさん…ごめんね…。』



遠くでそう聞こえた気がした。

なんで潤が謝るの?
潤のこと、犯すように抱いてしまった。
酷い事したのは俺なんだよ?
なんで?なんで…?

潤…。




RRR…RRR…RRR…

ハッ!あれっ?
置いた記憶のない携帯が枕元で鳴っている。

寝ぼけたまま手を伸ばし通話をタップする。

「…は、い。」

「あ、櫻井さん。起きれました?」

「ん…?マネー、ジャー?」

「そうです。大丈夫ですか?
大分お疲れのようですけど、今日は昨日の分の撮影もあるんで、よろしくお願いします。
出発時間が近くなったら、また連絡しますね。」

「え?あ…まだいいの?」

「ええ、まだ2時間はあるんで。
いや、朝早くに潤さんから連絡もらいまして。
櫻井さん、疲れていて起きれないかもしれないからコールして欲しいって連絡あったんですよ。
ご本人はもう出るからって。
にしても、早い出発ですね。
モデルも大変だぁ。では、後ほど。」

潤、お前そんな事まで…。
あんなことした俺を気遣って。


昨日の夜、この腕の中にいた潤はもういない。

「くっ…、うぅ…。
う…じゅん。ごめ…じゅん…。ふっ、うぅ!」

涙が止まらなかった。
潤の優しさと自分の馬鹿さ加減に涙が溢れて止まらない。

どんな想いで俺に抱かれてた?
こんな俺を…もう、愛してはくれない?

そうしてしまったのは、俺だ。




手元には俺が渡したブランケット。

あったかい…。
潤のぬくもり。
潤の香り。
あんなに抱きしめて寝てるんじゃ、潤の匂いしかしないよ。
潤が隣に居なくても、潤のぬくもりと香りを感じられる。


すでに主を失ったベッドの上でしばらく動く事ができなかった。