「潤くん。やっと見つけた。
なんで泣いてるの?」
「さ、くらい、さん。
なんで…ここに…」
「探してた。ずっと。
ねぇ、なんで?なんで泣いてるんだよ!」
潤くんの腕をグッと掴む。
「な、泣いてなんか、いない…。」
顔を逸らす。
真っ赤な目と潤んだ瞳で嘘をつく。
「じゃあ、なんでそんなに苦しそうな顔してんの!?」
思わず声を荒らげてしまって、潤くんはビクッとして、俺の方を見上げる。
君の目が俺の瞳を捉える。
「だ、だって…しょうがないじゃん!
好きになっちゃいけないんだもん。
ダメなんだもん…。」
君の瞳から涙が溢れて、頬を伝っていく。
「もう、やだ…。
見れな、い。見たく、ない…。
もう…会わない、つもりだったのに…。
だって…好きなんだよ。
どうしようもないくらい、
さくらいさんが、好き…。」
逸らせない。
真っ直ぐな君の視線と想い。
一瞬掴んでいる力を弱めてしまった。
「……ごめん、なさい。
好きになってごめん…。」
手を振りほどかれて、潤くんは水の中に飛び込んで行く。
「あ、ねえ!待って!
待ってよ!潤くん!潤…!!」
慌てて飛び込むけど、俺は泳ぎは得意じゃない。
しかも服を着ているから、どんどんと体が重くなり沈んでいく。
あ、やばい…!
俺、このまま沈んだら死ぬの!?
まだ、君に何も伝えてないのに…!
薄らいでいく意識の中でうっすらと見えた君の姿は幻?
唇にふわっとした感触。
…あの日に見た人魚は、潤だったんだね。