私は、お金を受け取るのが恐かった。

自分が何かサービスを提供していても、

その対価をもらうのが恐かった。

 

数千円だったら、そんなに恐くない。

 

でも、一回のセッションで、

諭吉さんを何枚も受け取るのは、

ちょっと手が震えた。

 

 

こんなに私にお金を渡しちゃって、

このお客さん、今月の生活費は

大丈夫かしら……

 

って心配してた。いや、失礼だろ。

 

 

フリーランスとして仕事して、

会社宛の請求書を書くのは

そんなに恐くない。

 

それでも、相手に対して

いらぬ心配をしてしまう。

 

このタイミングで請求書を

出しても大丈夫だろうか……

資金繰り大変だったら言ってね!とか。

 

 

自分がお金を受け取ったら、

相手のお金が減って苦労させる。

そういう思い込みを私は抱えていたんだ。

 

 

そういえば、親からお金を

もらうのにも抵抗があったな。

 

帰省するたびにお金を

渡そうとしてくる母に、

 

「こんなにもらえないよ」

といつも突き返していた。

最終的にはもらうんだけど。

 

 

 

私がお金をもらうと、

誰かのお金が減る。

 

私が豊かになると、

誰かが貧乏になる。

 

私が幸せでいると、

誰かを傷つける。

 

私がありのあまの自分でいると、

周りの人を破壊してしまう。

 

 

そんなふうに思ってた。

私は疫病神だ。

疫病神である自分を恥じた。

 

 

私は、生きているだけで

誰かから何かを搾取し、

周りの人を傷つけている。

 

 

 

 

 

「そんなことないよ。

 あなたは生きているだけで

 素晴らしいし、

 

 あなたが幸せでいれば

 周りの人も幸せになるんだよ」

 

 

そういう励ましの声も聞こえる。

そう、それも真実だね。

 

私が生きているだけで幸せだ

言ってくれると人はいるでしょう。

 

でも、それと同じくらい、

私が生きているだけで

腹立たしいと思う人もいるんだよ。

 

 

人に嫌われること、憎まれること。

それは悪いことだから、

自分を修正しなくちゃいけない。

 

そういうふうに自分を責めていた。

 

今は?

 

自分を責める必要は

無いと知っている。

 

どんなふうに生きていても、

好かれるときは好かれるし、

嫌われるときは嫌われる。

 

知らないところで

誰かを救っているかもしれないし、

誰かを傷つけているかもしれない。

 

私の中には天使の部分もあり、

疫病神の部分も存在している。

 

とはいえ、疫病神でも神は神。

 

 

 

素っ裸で四辻に立ち

桜散る春の風を待つ

嫌われても神は神

疫病の神に祈る

 

(作詞・作曲:鈴木常吉「疫病の神」より。アルバム『ぜいご』に収録されています)

 

 

 

鈴木常吉さんの「疫病の神」

という唄が好きだ。

 

常さんも鬼籍に入ってしまったが、

あの世でも呑んだくれて

唄っているだろうか。

 

 

ときには、疫病神に祈りたくなる。

それは、私の中にもある闇。

 

私は、自分の闇を消さない。

 

みあんご!

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