しばらくの沈黙の後にプロイセンが口を開く。
「やっぱり昔の事思い出してたんだろ…?」
違う…そう言おうと顔を上げ、プロイセンの顔をみたハンガリーは思わずまた顔をしたに向けてしまった。
赤い綺麗な瞳が真っ直ぐとこちらを見据えていたからだ。
全てを見透かされていそうな気がしてまた視線を外してしまった。
「……そうよ…昔の事を思い出してたのよ…。
それだから何?
慰めの言葉なら要らないわよ。」
半分ほどヤケクソ気味になりながら答える。
私が欲しいのは慰めの言葉じゃない。
私があんたから欲しいのは…
私が欲しいのは慰めの言葉じゃない…。
私があんたから欲しいのは…
昔からの腐れ縁みたいな物だった。
あの時、私は自分の事を男だと思ってて。
あいつも私を男だと思ってた。
思い返せば私はあの時からあいつの事が気になっていたのかもしれない。
安心して背中を預ける事の出来るあいつが……。
慰めの言葉なら、女だと分かった時に嫌という程貰った。
でも、あいつだけは慰めの言葉を言わなかった。
【女だと分かって悔しいだろうに…】
【女なのだったらおしとやかにならなくてはね?】
【乗馬なんて女性はしてはいけません!】
そんな言葉を言う上司や周りの人間とは別の事をあいつは言った。
【おい!男女!女装なんかしてねぇで狩りしようぜ!狩り!馬乗ろうぜ~!】
今思えば、女に慣れていないあいつだからこそなのかもしれない。
でも、あの時はただ単純に
【変わらない扱い】をしてくれるあいつが有難かった。
女だと分かって絶望していたあの時、前と変わらない扱いをしてくれるあいつが嬉しかった。
周りの人間に何度言おうと思っただろうか。
【男だと思ってた俺も
女だと分かった私も
同じなのになんで扱いを変えるの?
変えないで!扱いを変えないで!
何を信じていいか分からなくなる!】
そう言いたくてたまらなかった。
そんな時にあんたは言った。
【お前はお前だ!】
シンプルで単純な言葉だったけれど、辛かった私の心には良く響いた。
ただ1人だけ、慰めなかったあんたに救われた。
だからあんただけは慰めの言葉を言わないで___
何年…何十年…何百年と
ずっと大事に心の中にあった思いを口に出すのは今更難しい
でも
支えて貰ったお礼に
あんたに
プロイセンに
伝えるべきなのかもね
…ありがとう
あんたの事を
私は_______。
次回予告
ハンガリーが伝える言葉とは…
「鈍感」
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