その本を読んでいると、
なぜか途中で涙が出てきた。
なぜだろう。
なぜかわからないけど、
心の奥で、何かが一気にあふれてきた感じ。
その本は、
大島真寿美著『ちなつのハワイ』(ポプラ文庫)
もともとは、児童文学に分類されているお話。
でも、内容はその域を超えています。
ケンカばかりの両親、
受験を控えた兄と一緒に、
主人公のちなつは、ハワイに家族旅行でやってきます。
そこに、日本にいるはずのおばあちゃんが現れることで、
これまでその一家のなかに、
つもりにつもっていた様々な問題が、
一気に表に現れて…
という物語。
なんというか、
「ハワイの不思議な力」
を感じる本です。
日本にいるときには、
見えるようで見えていなかったことが見えてきたり、
言いたくても言えなかったことが言えたり…
尖った心が、丸くなるような。
何もかも包んでくれるハワイの空気。
何もかも解き放ってくれるハワイの空気。
ワイキキにいると、
日本人だらけで、外国に来た感じがしない、
と思うこともあるけれど、
やっぱり、その土地の空気って、
日本とは違う。
そう思います。
なんとなく体が軽くなり、
心も軽くなる。
単に、
日本での日常生活から解放されるというだけの、
意味を超えたものが、
そこにはある。
心が穏やかになって、
自然と笑顔になっていて、
エネルギーに満ちてきて。
温かいものが、そこにはある。
私は、母親とは、両親が離婚したことをきっかけに、
なぜか距離をとってしまっていたのですが、
去年、二人でハワイにいきました。
そのとき、やっぱり普段の心のわだかまりがとれたのは、
ハワイの空気のおかげだったと思います。
なんで、こんなことを10年以上、
引きずっていたんだろう、みたいな。
そんな気持ちになりました。
そんなハワイの不思議な魅力と優しさがつまったのが、
『ちなつのハワイ』
ぜひ一度読んでみてください。
ハワイアンライフデザイナー
二宮 えり