「ん?」
24時間テレビの最中。
ちょっと舞台袖に引っ込んだ時。
雅紀がこそっと俺のTシャツを引っ張る。
「今日、何の日か覚えてる?」
そりゃー、もう。
あの日、俺は決意したんだ。
コイツと何があっても離れない。
絶対幸せにするって。
「お前の千葉に行った日だろ?」
「そ。俺の千葉ね。」
そう言ってクスッと笑う。
お互い寝不足で、でもアドレナリンでまくりで、今日の夜、寝かせてあげられるかな、なんて思ってるところに、その笑い方は反則だって。
可愛すぎるわ、まったく。
「でね。」
「ん?」
また俺のTシャツを引っ張るから、もうこのままここでキスしたくなるくらいだけど。
いやいや。
今、ここでそんなことしたら。
全国区でやばいことになる。
「あのね。」
「うん。」
色んな感情を押し殺して雅紀の次の言葉に耳を傾ける。
見て、これ。と雅紀が差し出したスマホのLINEメッセージ。
そこには「24時間テレビ頑張ってね。テレビの前で応援してます。また2人で遊びに来てね。ちなみに、私、今日誕生日なのよ(笑)」ってメッセージが。
「誰、これ?」
「俺の千葉でお世話になったおばちゃん、じゃなくてお姉さん。」
「なんで連絡先知ってるの?」
「そりゃ、翔ちゃんをおもてなしするために色んな人と綿密に連絡してたからね。」
そっか。
俺は、本当に楽しくてドキドキしたあの一日を思い出す。
「今日、誕生日だって。」
「ね、これは俺も初耳。あの日言ってくれれば良かったのにー。」
「また、行くか。」
「そうしよ。2人で来てください、って書いてあるもん。」
2人で、って。
「俺達のこと、知ってるの?」
「どうだろ。俺がさ、大切な人をもてなしたいんです、って言ってたから、もしかして気付かれてたのかも。」
雅紀も、あの時にはもう、俺のことを?
なんか隣りにいるのが当たり前すぎて、いつから、とか深く考えたこと無かったな。
「バラの花束でも持っていくか。」
「ふふ。それいいね。おばちゃん...じゃなくて、お姉さん、ひっくり返っちゃうかもよ(笑)」
櫻井さーん、相葉さーん!と呼ばれる。
色んな人たちが、陰ながら俺たちのことを応援してくれてる。
俺たちもそれに応えたい。
俺は、一瞬だけ強く雅紀の手を握って、一緒に舞台を見つめた。
おしまい
24時間テレビの最中に失礼します。
ちょっと個人的なお祝いを兼ねて。
Mママさん、いつもありがとうございまーす❤
おばちゃんで登場させちゃってごめんなさい(笑)