神林長平「グッドラック 戦闘妖精・雪風」 | ヒメのブログ

ヒメのブログ

人生は面白いほどに展開する。

われは、われである。


「お前は誰だ」と問われたとき、あなたはなんと答えるか。


名前?

名前は記号にしかすぎない。

あなたの本質は何か。


以下、抜粋。


人類はいまや、かつてない高度情報社会を築き上げ大量の情報に取り囲まれて生きている。真偽取り混ぜた膨大な情報は物事をあいまいにし、あいまいさは、不信を生じさせる。そう、現代人は信頼ではなく不信を物事の判断基準にしている。情報量が増大するにしたがってその伝達内容の信頼性は低下するという物理法則のままに、人間同士の信頼関係も揺らいでいるのだ。判断材料が多くなるほど、疑惑の種も増える。これは高度情報社会における陥穽と言えよう。たとえ聖人を名乗るだれかに水上を歩くのを見せられたところで、現代人はそれに畏敬の念を抱くというようなかつての純朴さを失っている。


肉体は思考しない。ただ反応するだけだ。


それにしてもどうしてこんな自分が生まれてきたのだろう。正常な人間社会から疎外されるような性質を持った人間が。群れて生きることが我慢できない人間。


存在するならば、その力は人間など介さずに作用するだろう。天罰が下る、などと人間があえて宣言することはないし、だいたい天罰を下すべきかどうかなどという判断を人間が下すなどというのは僭越というものだ。絶対者の意思は、おそらく信者個人の思惑などに左右されたりはなし。ようするに個個の人間などには関心がない。だからこそ畏怖すべき対象になり得るのだ。


「少佐は謝ってはいない、事実を言ったまでのこと。わたしはあなたに責任を押しつけようとしているのではない、責任者が責任ある態度をとるのは当然だ、と言っている。われわれはあなたの機嫌をとりに来たのではない。作戦会議に出席するためだ。(後略)」

グッドラック―戦闘妖精・雪風 (ハヤカワ文庫JA)/神林 長平
¥945
Amazon.co.jp