観察工場から自分が行く工場が決まり
2週間を共にした人達と
お別れする時がきた

お別れとは
同じ刑務所にいるのに
偶然や意図的じゃない限り
もう喋ることもなくなるので
これが最後という状態

あたしは同じ舎房じゃない人と
一緒の工場になったので
みんなとはお別れになってしまった

小さな部屋で作業をしていた時と
違ってこれからは大勢の人と
生活する事になる

工場に下りる前日
みんなと月に1回ある宗教の集まりで
会えるように同じ宗教に入ろうと
決めていた

こういうことをしないと
みんなの現状がわからないし
元気かさえもわからないから

クラブ活動もあるけど
こちらは定員があり
入れるかどうかはわからない
でも同じクラブに入ろうと決めていた

あたし達は各工場に
連行されこれから作業する工場に
向かった

『第4工場』
このドアが開いた瞬間
受刑者の集まりに足を踏み入れたことに
なる

職員が
「手元〜
と大きな声で言っている
みんな 新人が入ってきたと気づいて
チラッとドアのほうを見る習慣があるから

そしてあたしは担当台のある
工場の中心まで行き挨拶と説明を聞き
自分がやる担当作業の机
通称「役席」
に案内されて囚人生活を
開始した

あたしはこの先いくつもの
壁にぶち当たる