目覚めたが、まだ眠たいし怠いので「行くのヤメようかなぁ…」と思いつつも、やっぱり外出。新文芸坐へ。

今日から特集上映・生涯現役を貫いた稀代の名女優を偲ぶ『追悼 淡島千景』がスタート。本日は『夫婦善哉』『新・夫婦善哉』の二本立て上映後、淡路恵子さんのトークショーがあるので混んでいる。私は四十分前に場内に入ったが既に半分位の席が埋まっていた。

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『夫婦善哉』(1955/東宝)

森繁久彌が「是非出てほしい」と手紙を書くほど熱望して生まれた淡島千景の代表作。以後森繁との共演映画は36本にのぼる。雪が降る中「道行きや」と二人歩いていくラストは映画史上に残る名シーン。


『新・夫婦善哉』(1963/東宝)

前作の8年後に製作された続編。実生活で淡島を敬愛する淡路は柳吉を連れ帰ろうとする蝶子との対決場面が印象に残る共演だったと述懐する。前作と逆に蝶子が「頼りにしてまっせ」と言うラストにニヤリとさせられる。


2作品上映後、淡路恵子さんのトークショーがスタート。淡路さんは終始淡島さんのことを「お姉ちゃま」と呼んでおられた。

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分かりにくいが真ん中が淡路恵子さん

・宝塚に入りたかったが、当時は大阪から通学できる者しか入学出来なかった為、SDK(松竹歌劇団)に入った。

・大好きな淡島千景さんの「淡」の字を頂き、黒澤明監督が「恵まれた子になるように」と恵子の名を授けた。ちなみに淡島千景さんの本名も「恵子」であり、結果的に「淡路恵子」の名は上も下も淡島さんから頂いたことになる。

・メイクについて淡島さんから「宝塚のマネをしちゃ駄目。あなたはSDKなのだから宝塚みたいなメイクをすることはない」と注意されたことがある。

・黒澤監督作品『野良犬』。当時映画スタッフ等関係者一同がSKDへやって来た。稽古場の生徒達に「君は将来どんな役がやりたいのかね?」と聞いて回り、殆どの生徒は「格好いい男役!」「お姫様!」と言う中で淡路さんだけは「洋婦です」と答えた。「キミは変わってるねぇ」と次々に質問責めにあい、翌日『野良犬』への出演が決定した。

・大泉撮影所が停電になり、その日は撮休になった。今から考えれば多分「だだっ子」の私の為に黒澤監督が三船敏郎さんに頼んだのだろうが、その日三船さんに連れられて銀座で生まれて初めてビフテキを食べた。「世の中にこんな美味しい物があるとは…」と驚いた。

・「一度も行ったコトが無い」という淡島さんを連れてデパ地下へ。淡島さん、遠くの方から淡路さんに向かって「ねぇ!ご飯が売ってるわよ~!」って。そりゃデパ地下ですもの、売ってます。

・ファミレスへ行き、メニューを片っ端から注文しようとした淡島さん。「みんなで分けて食べましょ」と言うが、淡路さんに「これ全部にご飯やスープが付いてくるから食べきれませんよ」と言われ悲しそうに諦めた淡島さん。

等々。ちなみに淡路さん、スタッフお構い無しで話しを続けたものだから、トークショー約20分のオーバー。マネージャーから次の仕事(フジテレビ『ホンマでっかTV』収録)があるとのことで、ようやく終了。

お陰様で若干仕事に遅刻してしまいました(笑)。