昨日の話し。
ヨシヒロの家に入ろうとすると
茶トラのネコがどこからともなく勢いよく走ってきた。
『あっ、これがいつも餌あげてるネコちゃん?』
『うん』
といって彼は茶トラに目を合わせることなく部屋に入った。
しばらくして近くの蕎麦屋さんに夕飯を食べに行こうと
家から出た途端に
またどこからか茶トラが走ってきた。
私が近寄って撫でようとすると
スルリとかわして
まっすぐにヨシヒロだけを見てる。
『こんなに慕われたら可愛くなっちゃうよね~?』
『別に…』
頭を撫でてあげるわけでもなく
声をかけるでもなく
茶トラを無視して歩いていく。
ちょっと歩いて家の裏にあるお蕎麦屋さんで
食べてるとき…。
なにか視線を感じる…。
ふと後ろを振りかえると
素通しになった硝子の窓からジッとこっちを見ている茶トラがいた。
うそ~ぉ。
逆に怖い。
私と目が合った瞬間、
フンッといったような顔をした…ような気がする

きっと、
茶トラはメスだ。
『ちょっと~、こんなとこまで追いかけてきてるなんてすごいじゃん』
と興奮する私に
『いっつもそうなんだ、夜中に帰ってきても来るし。
なんか監視されてるようでやだ』
って
怒ったようにいった。
でも…
それはヨシヒロがネコを嫌いなわけじゃなく
冷たいわけでもないんだよね。
だって
そんな人にネコがあんなに慕うわけないもん。
それに前に
朝晩いつも餌あげてるっていってたし。
玄関にキャットフードが置いてあったもん。
カリカリのフードのほうが太らないし健康にいいんだよ…って。
餌は夜の寝る前にあげたほうがいいんだ。代謝が上がって寒い夜中も外で過ごせるように…って。
自分の買い物と一緒に
野良猫の餌を選んでるヨシヒロを想像すると
ますます私のツボにがっつりとくい込んでしまうのである。
茶トラに対しても
優しいんだか冷たいんだか
好きなんだかうっとおしいんだか
よく分からない態度のヨシヒロ。
茶トラが話を出来たら
私たちは気が合いそうだ。
『でも、急に来なくなったら淋しいでしょ』
『別に~』
『事故とかに合ってたらとか心配じゃないの?』
『車通りの多いとこには行かないように見てるから』
ほら、またキュンってさせる。
きっと私はそんなとこが好きなんだな。
『好きじゃなかったら部屋になんて呼ばないでしょ。めんどくさいじゃん』
茶トラに対する愛情表現…
分かりずらいけど
キライじゃない。