少しずつ前向きに | 神経芽腫の娘のこと

神経芽腫の娘のこと

2017年12月3歳9ヶ月、小児がん神経芽腫と診断され、再発を繰り返しながらも懸命に生きた証、治療や娘との大切な時間をどう過ごしたか、それからの事、子どもを亡くした母親の気持ちを綴っています。2023年2月14日永眠。アメンバー申請の際は自己紹介メッセージをお願いします


2022年11月



入院3日目も4日目も、朝から泣いていました。





抗がん剤が始まって数日すると、幸い、痛み止めが要らないぐらい、





痛みは落ち着きましたが、





『帰りたい。お兄ちゃんに会いたい。』





そんな言葉を泣きながらずっと言ってました。





抗がん剤は5日間あり、水分を流したりで、だいたいいつも一週間の入院です。





しかし、娘は「帰りたい」ばかり言うので、





5日間の抗がん剤を入れ終えたら、翌日には帰ろう!





最短の6日間入院にしよう。





と、受け持ちの看護師さんは提案してくれました。





『あと3日!お薬もあと2日いれたら終わり!』





と、励ますも、





『まだまだ長い。お薬は2日もあるんでしょ。





お薬入れたら気持ち悪くなるし、しんどくなるし、もう嫌だ。』





と、時計ばかり見て、





『どうしたら時間が早く過ぎるの?』





時計やカレンダーを見ては、





『まだまだ。あと何時間経ったらお家に帰れるの?』





そんな事ばかり言っていました。





『何かして遊ぼうか!』





と言っても、





『お薬で気持ち悪いから何も出来ない。遊べない。』





と。そりゃそうだよね。





ひたすら時間が過ぎるのを待つ事しかできず、





5日間の抗がん剤のうち、4日目が終わった頃、





『あともう少し。





あと1回お薬頑張って、その日寝たら帰れる。』





と、娘が前向きな言葉を言い出しました。





帰ったらあれをしたい。これを食べたい。ここに行きたい。





と、言い、ずっと泣いていたのに、泣くのを止めて、





歌を歌いだしたりしました。





なんの気持ちの変化なんだろう。





泣きたい時は泣いていいし、





思っている気持ちは吐き出していいから。





我慢しなくていい。と、娘に伝え、





家に帰って楽しい事をする為に、





しんどいけど、治療を続けている。





という事を葛藤しながらも、理解してくれた様子でした。





この日は、ベッドサイド授業を2時間もがんばり、




作品展示会に出すものを完成させていました。





体、まだしんどいのに本当によくがんばったね。




習字を習っていた訳でもなく、





そして、ほとんど書写の授業を受けれていないのに、





力強い字で驚きました。





作品展示会が楽しみです。