法律と経済にはなんの関係もないと思ったら大間違いだ。
これは実体経済と法律の関係ではなく、法治国家がうまく機能するのは、人間に備わっている便益とコストを計算して少しでも特になる行動を取るからという意味においてである。
なぜ法律を守る人が大半なのか?
もし法律なんか作っても誰もそれを守ろうとせず、務所にぶち込まれる人が後を経たないようであれば、それはもう法律が機能しているとは言えない。
法律が機能するのは、それを破った時に自分が被る被害、つまり自分が負うコストと便益を計算させるからだ。
よほどのことがない限り(たとえ捕まったとしても自分の恨みや鬱憤を晴らすこと=便益が、コスト=捕まることを上回る場合)、法律を破ろうとする人はいない。
もし痴漢が法律で禁止されていなければ、男は平気でそれをやるだろう。だが法で禁止されているがゆえに、本当は電車で見かけた可愛い子のお尻を触りたくて仕方なくても、それをすることによって捕まれば職も失うし、今後の人生を惨めな思いで過ごさなければならなくなる。
つまり法律とは、人間が無意識のうちに行動の費用便益分析を行なうであろうことを前提としており、それは非常に経済学的な考え方である。
法律家はこのような考えを嫌うだろうし、人が法律を守るか否かは損得で決めていると考えるのはあまり気持ちがいい物ではないかもしれないが、正直巷にはなんのために作られた誰のための法なのかわからない物だって多い。
それらまでも遵守するのは、人間が思いやりがあり良心を持っているからではなく、ただそれを破った時のコストが大きいからだ。