ある所にちょっと変わった女の子が居ました

小さい頃から他の人の目には見えないものが見える

人の心の中が見えるんです

だから人の目を見るのがこわくていつもうつむいて目を合わせないようにしていました

とても無口で無表情で目立たないおとなしい子

当然いじめられっこ


“人の心はひとつじゃない。いくつもある。瞬間瞬間変わるもの…そんなもの信じることなんて無理!!”

いつしかそう思うようになっていきました

そのうち自分の存在すら消しさりたいとまで思い始めてきました

来る日も来る日も続くいじめ

つらいけど誰かに言えば余計エスカレートする

言えない…家族にも言えない

全部一人で抱えて耐える日々

そんな日々にもう限界を感じ“つらいよ、苦しいよ、もう嫌だ!こんな日々終わらせたい”


毎日のように死に方を考え、死に場所を求めて歩く日々が続いて居ました

そんなある日、事件が起きました


同じクラスの男子3人がその女の子をベランダでグルッと囲みこう言いました

男子『お前人形だろ?ロボットだよな?』
女子『え?違うけど』
男子『嘘だね!人間て言うのはもっと表情があるんだ!お前にはないじゃん!』
女子『あたし人形やロボットじゃない…同じ人間だよ』
男子『嘘だ!』
そう言い女の子の腕をさわる
男子『へえ~、よく出来てるな…本物そっくりじゃん』
女子『だって人間だもん』
男子『嘘だね!そうだ、実験しようぜ!』
他の男子たちも
『おお、そうだな!実験しようぜ!実験タ~イム♪』
そう言ってカーテンと窓を全部しめて、女の子をベランダから逆さ吊りにしました
女子『キャー!助けてー!やめてー!!』と泣き叫びながら必死でてすりにしがみつく

男子たちは指を一本一本てすりから外していきます

男子『なんだよ、すげえチカラだな』
男子『だってこいつロボットだもん、チカラはあんだろ?』
男子『あっ、そうか』

女子『助けて!やめて!死んじゃうよ!あたしロボットなんかじゃない!やめて』と泣き叫び続けます
男子『うるせえな!落ちても壊れるだけだろ?ロボットなんだから!博士に直してもらえばいいじゃん』
女子『違う!人間なの!お願い、やめて』とさらに泣き叫び続けます

その様子にやっと下の階の人が気付く

『ん?あれ?人の顔?…あっ、大変!どうしよう?!』
下の階のベランダに居た女子たちが騒ぎ始める

その時ポケットの生徒手帳が一番下の花畑まで落ちる
そこはいわゆる不良と呼ばれていた子達のたまり場

『ん?なんか落ちて来たな…生徒手帳?』
そう言い手帳を広げて女の子の名前を見た男子が
『え?あいつの?なんで?』
そう言い見上げる
彼は女の子の小学校の時の同級生です

『あっ!お前ら何やってんだ!こら!』

その怒鳴り声に先生が気付く
先生『あっ、お前ら何やってる!よし今助けに行くぞ!もう少し頑張れ』

校庭に居た大勢の人達も気付く

何人かの人の“キャー”という叫び声

いつしかそれが『頑張れ!頑張れ!』と頑張れコールに変わる

さすがに3人の男子達のいじめが一時中断

でももう後にはひけない男子たち

『いいよ、かまわないから早い所落としちまおうぜ!』

『おお、そうだな』

必死に耐える女の子、必死に落とそうとする男子たち

そのうちに先生が息を切らせながら到着し男の子たちを一人一人どかして、女の子を引きずりあげました


校庭からは拍手の渦

『よく頑張ったね』の声

やっとベランダに戻された女の子はパニックして
『わあああ!あああああ!!』
そう言いながら泣き叫びました

手はマメがつぶれて血がにじみ出ていました

手がてすりをつかんだ形のまま固まって動かない

不良の同級生の男子もかけつけ、『大丈夫か?』そう言い生徒手帳を泣き叫ぶ女の子の胸ポケットにいれてあげました

先生は女の子に『落ち着け!もう大丈夫だ!』と抱き締めました

やっと落ち着いた女の子

いじめた子たちは『ちぇっ!あともう少しだったのにな…まあいいや、面白かったからまたやろうぜ』
そう言いながら立ち去って行きました

『あいつら…』
そう言ってにらみつけた不良の子

その後クラスで話し合い

先生が泣きながらこう言いました

『お前ら、こいつが何やった?何もしてねえよな?なのになぜいじめる?いいか?こいつの手をよく見て見ろ!ロボットなんかじゃねえんだよ、こいつはお前達と同じ赤い血が流れてんだよ…。確かにちょっと変わった所はある。でもなぁ、こいつ、花が倒れてるのを見てかわいそうって泣いてた時があったんだよ。そういう優しい子なんだよ!お前らなんかよりずっと優しい心の持ち主なんだよ…なのになぜいじめるんだ?』
そう言って先生は言葉をつまらせていました

おかしな話ですが、あんなに死にたがって居た女の子が『私…本当は生きたいんだ』

そう気付くキッカケになったのがこのいじめでした

後日談ですが、数日後いじめた男子達が女の子に声をかけてきました

なんだか前と様子が違う

男子『なあ、お前不良の子と知り合い?』
女子『うん、今も同じクラスだけど小学校の同級生』
男子『えっ…そ、そうなんだ』

そう言い他の仲間達に『あいつはやばいよ、もういじめるのやめようぜ』そう言い足早に立ち去って行きました

不思議に思った女の子は不良の子を探してきいてみました
女子『ねえ、あいつらになんかした?
『別に…なんで?』
女子『あいつらがあんたと知り合いかって聞いて来たから』
『まあね…ちょっとこらしめてやった』
女子『だから何やったの?』
『ん?屋上から逆さ吊り』
女子『バカ!人殺しになりたいの?あたしは平気!だからほっといて』
『はあ?お前殺されそうになったんだぞ?オレのダチが目の前であんな目にあって平気でいられっかよ!』
女子『え?ありがとう』

『別に…』

その後先生が来て会話中断
先生と立ち去る時に女の子が振り向いて『あのさ…たまには教室に居てよ。あたしそれだけで頑張れるんだ』
そう言いました

彼はちょっと驚いた顔しながら『そうか?…そうだなぁ、他の奴等がいじめねえようにたまには監視に行くか?』
ちょっと照れながらそう言ってくれました
『ありがと』そう言い初めて女の子がみせた笑顔
『いつもそういう顔してりゃいじめらんねえよ』
『うん』そう言い立ち去りました


それから15年後、同窓会がありました

その女の子が生きてるかどうかの確認のためだったようです
幹事は助けてくれた不良の男の子

とても明るくなり人の目もまっすぐに見れるようになった彼女を見てみんなびっくりしていました
よかったね、そう声をかけてました

今でもしっかり生きてるよ

いや生かされてるのかな?

これからもどんなにつらいことがあっても生き続けるよ


女の子は昔のrodoです


最初の内容に少し付け加えましたm(_ _)m