雨音は壊れた旋律


僕の心を奏でる



突然の天気雨が


窓にポツポツ ポツポツと


不規則な胎動のリズム



伝う雨 窓に涙


遠く蝉時雨 子守唄のよう



夢現つを彷徨い


灰色の心象風景の中で


辿り着いた灯台のある丘



草原に立つ大きな菩提樹


傍らには一人佇む少年



少し汚れた白いTシャツ


風になびく黒い髪



寂しげに僕を見つめる瞳は


泣いてるようで


笑ってるようで



「一人なの?」



並んで雨宿り


そっと頬に手をやる



指先を伝う光る感情の雫は


微かな木漏れ陽に照らされ


瞬きの間


金色に輝いた



気が付けば雨は止んでいて


少年は姿を消した



残ったのは風の疾走る音と


遠くに聞こえる笑い声



空には雲が棚引くばかりで


僕に何も語りかけてこない



そんな夢を見た


初夏の午後



汗ばむ陽気は


やはり何も


語りかけてはこなかった