【第3章】機会が、ようやく | 小説『AKB48バトル選抜β』

小説『AKB48バトル選抜β』

『AKB48バトル選抜β』という小説を書かせていただいています。実は同じような小説を書かれている方を拝見し、インスピレーションを刺激されて、この小説が生まれました。「β」を冠しているのは、その方へのリスペクトを込めさせていただきました。


「これから君たちには、目の前の卵型の機械に入ってもらい、この機械を装着してもらう。」

秋元は両手に収まるくらいの大きさの機械を片手に持ち、ひらひらと揺らした。

つばが無いサンバイザーとでも言えばいいのだろうか、そんな形だ。

「これが1人1人の脳波に干渉し、バーチャル空間に連れて行ってくれる、というわけだ。」


熱心にメモをとる峯岸、佐藤亜美菜。

真剣な顔付きで聞く才加、柏木由紀。

話を聞いているのか、いないのか、ぼーっとしている高城、仲川遥香。

じゃれ合う大島優子と渡辺麻友。

過ごし方は各人、様々だ。


「そしてそのバーチャル空間の中で何で、戦うのか。
皆、そこが気になるだろう?」

秋元の言葉に誰もが頷く。


「君たちには必ず1つ、特殊能力が与えられる。
その能力を活用し、競い合ってほしい。

一言に能力と言っても、身体能力を上昇させるもの、魔法のように火や水を操るもの、そのどちらにも属さないもの、様々な種類を用意した。」

「そして最も重要なこと、誰がどのような能力を手に入れられるのか。
それは、先程見せたこの機械が決めてくれる。」



秋元は手に持つ機械を再びひらひらと揺らす。

「これは装着することで各人の経歴を読み取り、その結果に応じた能力を使えるようにしてくれる。

まぁ、どんな能力が手に入ったのかは、君たちに自動で装着される腕時計でわかるようになっている。
バーチャル空間に入ったら真っ先にそれを確認するように。」

「ちなみにその腕時計には地図やその他情報を表示する機能もあるから、それも各自確認しながら励むように。」


メンバーは各々一様に、秋元の言葉に頷く。

「そして、競い合う、と言ったが、具体的にはどうなったら勝ちで、どうなったら負けなのか。」

「それは至って簡単。
相手を再起不能にすれば勝ちで、されれば負けだ。」


再起不能、という物騒な単語に、一部のメンバーは怪訝な顔をする。

「なーに、そこまで過酷なイメージは持たなくていい。
君たちの体力値を元に、君たちのバーチャル空間内での体力値が設定される。
それがゼロになれば、ゲームオーバー、ってことだ。」


「ふむふむ、HPがゼロになればゲームオーバー、と。」

峯岸はそう呟きながら、メモに文を足した。


「説明はこれで以上だ。
それでは最後に、君たちに激励の言葉を。」


「まず、まだ若く、なかなかチャンスが与えられない者。

君たちは、選抜常連組に対抗意識を燃やしているだろう。
はたまた、自分の方が力が上だと思っているかも知れない。

その闘志。
存分に発揮する機会が、ようやく来たんじゃないか?」


「次に、古くからAKB48に属しているにも関わらず、未だ十分なチャンスが回ってきていない者。

君たちは、挫折という言葉が頭をよぎったこともあるだろう。
もしくは我々運営側に対し、恨みすら覚えているかも知れない。

その雪辱。
晴らす機会が、ようやく来たんじゃないか?」


「そして、選抜に入ってはいるものの、上位陣があまりに強力で、なかなか中央に座せない者。

君たちは、まだまだAKB48の中心を任せるには力が足りないと、我々に考えられているかも知れない。

その認識。
覆して、我々運営側の目を覚まさせる機会が、ようやく来たんじゃないか?」


「最後に、選抜上位陣。

君たちは、酸いも甘いも、その全てを知っているはずだ。
周りは死に物狂いで君たちのポジションを狙ってくるぞ。

易々と、明け渡していいのか?

そんな訳無いよな。

自分たちの背負うものの大きさ、存分に思い知らせてやれ。」


十分に間を置き、メンバー全員を見渡した後、秋元は最後の言葉を発した。


「以上。」


秋元の檄は、その場にいるメンバー全員の心を抉った。

そして、そこに火を灯した。
誰もが決意に満ちた顔をしていた。


「それでは、5分のインターバルののち、開始する。
開始時間までに、自分の名前が書かれた装置に入るように。」