手に取るな やはり野に置け 蓮華草

滝野瓢水

これは瓢水の友人が、遊女を身請けしようとするのを止めるために詠んだとされる句。

遊女は自分のものではないから美しいので、それは野に咲く花(蓮華草)に同じ。つまり野にある花を摘んでしまっては、その良さが損なわれるように、遊女も自分のものにしては、その美しさは失われてしまうのだ、「やめておけ」と、友人をいさめたわけです。

「蓮華草」という名は、その花の形が「蓮華(ハスの花)」に似ていることからつきました。ちなみに「レンゲ」の花には二つあり、童謡『春の小川』に歌われる「レンゲ」はこの蓮華草、『ひらいたひらいた』に歌われる「レンゲ」は蓮の花です。

ひらいた ひらいた

なんのはなが ひらいた

れんげのはなが ひらいた

ひらいたと おもったら

いつのまにか つぼんだ

『ひらいたひらいた』

春の小川は さらさら行くよ

岸のすみれや れんげの花に

『春の小川』

私の育った田舎では、春になると、田んぼの近くや原っぱが一面ピンクに咲き溢れるのをよくみました。まさにそれは、レンゲの絨毯そのもの。

思いがけず見つけた花園に心を躍らせ、手いっぱいに摘んだことがありました。ところが、家に着くころにはすっかり萎えてしまい、子ども心に、花にひどいことをしたと、泣きたくなるほど後悔したのでした。

含まれる意味こそまったく違うのですが、この句を見るたび思い出す、蓮華の花の記憶です。

今日もいちりんあなたにどうぞ。

レンゲソウ 花言葉「あなたは私の苦痛を和らげる」

レウィシアの画像のようです

~花以想の記~