投票プランナー市ノ澤充の独り言 -3ページ目
- 前回はSDGs5.「ジェンダー」とインターネット投票について見てみました。
- SDGs5.「ジェンダー平等を実現しよう」とインターネット投票
- 続いてはこちら、「イノベーション」です。
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- 9.産業と技術革新の基盤をつくろう(イノベーション)
- 強靭なインフラを整備し、包摂的で持続可能な産業化を推進するとともに、技術革新の拡大を図る
- 9.c 後発開発途上国において情報通信技術へのアクセスを大幅に向上させ、2020年までに普遍的かつ安価なインターネット・アクセスを提供できるよう図る。
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技術革新=イノベーションは時代の要請
- 言うまでもなく、国土が狭く資源の乏しい日本は技術立国を標榜してきましたし、これからもその方針は変わりません。昨年つくば市で実証したように、マイナンバーカードとブロックチェーンを用いた投票システムなど、新たな技術革新の基盤づくりが求められています。
- 国内初、マイナンバーカードとブロックチェーンを用いたネット投票の実証実験に成功~厳正な個人認証と秘密投票、非改ざん性を実証
- マイナンバーカードの普及率は2018年末時点で12%ほどと相変わらず低調ですが、健康保険証との一体化などいずれは浸透し行政事務は効率化していくものと思われます。ブロックチェーンは、米大統領選挙でも話題となった「投票結果の正当性=非改ざん性」の証明に大きく貢献する可能性があります。最も厳正な個人認証と、最も厳重なデータ管理を求められる投票分野においてこそ、イノベーションが必要です。
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ALSの人も視線の動きで投票できる
- また、技術革新は投票所に行きづらい人、投票しにくい人の投票環境を改善します。例えば移動が困難だったり字を書くのが大変な高齢者の課題も解決できますし、ALS(筋萎縮性側索硬化症)の方のように手足を動かせなくとも、視線の動きだけで意思表示できます。
- もちろん現行の選挙にも代理投票という制度がありますが、代理人と立会人に投票内容を伝える必要があるため、投票者の「投票の秘密」は他の有権者と同じようには守られません。加えて、その人の意思の通りに投票されたことを、本人は確認する術がありません。このような課題もネット投票は解決することができます。
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深夜の強制労働からの解放
- ちょっと大げさな見出しですが、ネット投票に完全移行すれば開票・集計は投票を締め切った瞬間に完了します。開票するために投票箱を移送し、開票所では夜遅くまで開票・集計作業が行われます。朝から働きづめの職員は、間違いの許されない緊張感の中、一刻も早い集計を求められるという過酷な状況下に置かれます。レジの1円ではありませんが、投票者数と投票総数にズレがあったときは、投票箱だけでなく関連箇所の床をひっくり返してでも探します。そして追い込まれた一部の人は、ミスを隠ぺいするために不正を働き、投票用紙を食べたり燃やしたりします。
- 総務課長が投票用紙を焼却、滋賀 衆院選で無効票を水増しの問題で
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報道関係者もネット投票を望んでいる
- そして意外と多いのは、報道関係者からも「ネット投票にしてくれ」という声。確かにネット投票が実現すると、その後の出世に響くともいわれる「当確の打ち間違い」は無くなりますし、票の確定まで待機するという過酷な業務からも解放されます。前者はともかく後者は、深夜・未明まで仕事をして帰り道に事故に遭う方もいて、なんとかしたいと強く思ったことがあります。
- 実際には「イノベーション」までいかなくとも、今ある技術を組み合わせて柔軟に運用するだけでかなりアップデートできそうですが、陋習を打破するにはインパクトが必要です。
- ちょっとイノベーションから逸れそうなので、今回はこの辺で。次回は9のcとあわせて10番、「人や国の不平等をなくそう(不平等)」について紹介します。

