神奈川事業所所属 入社1年目

神保 篤(じんぼ あつし)の悩み


↓こちらの記事もあわせてご覧ください✨




 



 



 

神奈川事業所に配属されて早1週間。

俺は、今とても悩んでいる。

 

 

-------------------------------------------------

 

神奈川事業所は大事な製造部門の一部を担っている工場や営業機能もある事業所で、

規模が大きく大事な仕事も多い。

 

だから、この事業所に配属されると内示をもらったとき、とても嬉しかった。

もともと配属希望で神奈川事業所を希望していて、その希望が通ったのだ。

配属が決まって以降の新人研修は、さらに気合が入ったのは同期みんなが知っている。

 

忙しいことは覚悟のうえ。

少しでも早く仕事を覚えて、成長したい。

だから、一緒に働く先輩や上司たちと、1日でも早く顔を覚えてもらって

事業所に馴染みたかった。

 

 

 

 

そして配属日初日。

始業時間よりも30分以上早く出社して、事業所の扉を開けて俺は

新人研修の時に習ったことを、早速実践した。

そう、実践したのだ。しっかりと。

 

 

 

 

「おはようございます!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

……………

 

 

シーン。

 

 

 

 

 

 

…挨拶は、コミュニケーションの基本。

学生時代の部活動でも、新人研修のマナー研修でも習ったこと。

だから実践、したのだが。

…が。全く、返事が返ってこなかった。

早く出社したとは言え、少しは人はいるのを確認してから挨拶をしたのに。

 

 

…びっくりさせてしまっただろうか…?

 

100名を超える所員が1フロアに集約されているこの事業所。

奥の方にいる人まで挨拶が聞こえるようにするには…

このくらいじゃないといけないと思ったんだけど。

 

 

シーンとしているフロアの様子に、自分はとんでもないことをしてしまったのか…と

みぞおちあたりがキュッとなった。

その後どうすればいいのわからず、その場にたたずむしかできなかった。

 

 

 

「あ、新入社員かな。おはようございます。ずいぶん早く来たんだね。」

 

 

誰からも反応なくて、どうすればいいか戸惑っていたら。

 

目の前の席にいた優し気な先輩が、声をかけてくれた。

 

あがっていた肩が、すこし降りる。

 

 

 

「はい、神保篤です。すみません、気合が入りすぎて早く来てしまいました。」

 

「これくらいなら結構人来てるから大丈夫だよ。俺は川野。神保君と同じグループなんだ。よろしく。」

 

 

ニコニコと穏やかな雰囲気の川野さんは、そのまま俺の席まで案内してくれた。

席には、俺の名刺と名札。そして必要な筆記用具一式まで用意されていた。

それが自分を歓迎してくれいてるようで、挨拶した時に感じたキュッとした寒さは一気になくなっていった。

 

 

…よかった。歓迎してもらえている。

 

 

 

この時やっと自分が緊張していて、挨拶の返事が返ってこないことに不安に思っていたことに気づく。

そして先輩が声をかけてくれて、デスクに自分の仕事用品が準備されていて安心できたのだ。

 

 

 

 

しばらくして続々と所員の人が出社してきて、

その中に俺の同期がオロオロとしながらも出社しているのを見つけた。

周りの先輩に声をかけてもらいながら席に案内してもらっているのを見て、

ちょっとだけ、心がもやもやしたのだ。

 

…先輩たちは挨拶するけど、1メートル先の人にしか聞こえないような声だったし、

同期はオロオロしてるだけで、挨拶すら、していなかった。

 

 

…挨拶って…基本じゃないのか…????

 

 

 

 

 

 

そんなもやもやを抱えながら、1週間が過ぎた。

 

 

 

配属初日ほどの挨拶は、その後できなかった。

あの静寂がとても怖かったし、間違ったことなんじゃないかと思ってしまったから。

きっと3秒くらいの静寂だったんだろうけれど、俺には1分にも、5分にも感じられたんだ。

 

 

もう二度と、あれを味わいたくない。と思ってしまった。

でも、同時に今まで自分が正しいと思っていたものが、間違っていたものだとも思いたくなくて、

どう挨拶をすればいいのか、わからずにいる。

 

とりあえずは、すれ違う人には挨拶を。

朝出社したら、そこそこの声で挨拶を。

帰宅するときは、自分の周りだけに聞こえるくらいの声で挨拶を。

 

けれど、返ってくる挨拶は、俺のその小さな声よりも小さい挨拶でしかなくて。

いい人達なのに、歓迎してもらえているとわかっているのに、この小さな歪で

自分のモチベーションが下がってしまっている。

 

 

 

 

挨拶は基本だからね!!!おはよう、神保!

と、新人研修中、毎日はきはきとした声で挨拶していた先輩が、なんだかとても懐かしくて。

でも、ちょっと恨めしくて。

 

俺が配属されたところは、その基本を全然やってない人ばっかりだよ。と。

 

 

これから自分はどうしていくことがベストなのか…

悩む毎日を、送っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神保くんは、バリバリの体育会系。

相手に聞こえるくらいの声で挨拶しないのは、失礼だと思っている。

挨拶を特に、大事にしているんです。

だってコミュニケーションの基本だから。

けれども…そのコミュニケーションはこの事業所では間違ってるのかな?と

不安になってる状況。