見つめて…(短編たかうの) | 笑う門には

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AAA大好き!のんびり更新していきます!
基本的にaストを公開するので、気長にお付き合い下さい。

慣れない事なので、何かやらかしたら、ごめんなさい。
よろしくお願いします!

や、やりづらい…。

今日は、メンバー揃っての撮影。
朝からスタジオに集まっての仕事。
撮影はすごく順調だけど……。

見てる…。

いや、気のせいかな?
まさか、そんなガッツリ仕事中に…。
いつもふざけるけど、仕事に対しては真面目で。
その点は、少し…すこぉーしだけ、尊敬しているんだけど。

でも…やっぱり、視線を感じる。

何かやらかした?
怒らせた?
……いや、思い当たらない。
じぁあ、逆に喜ばせた?
………いやいや、そっちの方があり得ない。
いつの間にか怒らせる事はあっても、喜ばせるなんて。

ないない。

「宇野ちゃん?」
「うえっ?」
「んふっ。どうしたの?」
「ん?え?」

隣に立つ千晃に声を掛けられ一人で焦る。
真っ直ぐな瞳を向ける千晃に…。

……い、言えない。

朝から、にっしーの視線を感じるなんて…。
なんだか、それって…。

『うぬぼれてる』みたいで。

にっしーは、よくメンバーの事、観察してるし。
それで、他の人が気づかないような事に気づいたりして…。
細かいって言ったらそれまでだけど…。
そのおかげで、自分では気づかない事を教えてもらったりして……。

助かる。

そっか、今回も観察してるのね。

うんうん。

それなら、少しは納得。
今日は新しい衣装での、初めての撮影だし。
珍しく、モノクロでの撮影。
にっしーなりに、何か考えて………。
…にしたって、見すぎじゃない?

そうよ!

何か気に入らないとこがあるなら、早く教えて欲しい。
撮影はサクサク進んでいるし、無言で見てくる意味が分からない!
朝から感じる視線に、いい加減イラッとしてきた。

こうなったら、私だって!

そう思いながら、少し睨むように、にっしーを見た。

ドキッ…

目があった瞬間…笑顔のにっしーに…。
心を掴まれた。

これって……。

「はいっ!お疲れさまでーす。休憩入りまーす。」

スタッフさんの声に我に返る。

な、何?今の…。

高鳴る心臓の音が、まるで耳元で聞こえて。
周りで話すメンバーの声が聞こえなくなって。
モノクロの世界に包まれた。
…だけど……。
にっしーだけが、色付いてる。

何これ…。

笑顔のままのにっしーが1歩近づく。
それが合図のように、私は走り出した。

「宇野ちゃん?」

後ろで千晃の声が聞こえたけど、それにも構わず、スタジオから飛び出した。

何これ?

広い廊下だけど、機材やら、スタッフさんで溢れてる。
その間を抜けるように、走り続けた。
相変わらずのモノクロの世界を、ただひたすら。

何これっ!!

こんな感覚…あり得ない。

「宇野ちゃん!危ないよっ!」

にっしーの声がしたと思ったら、腕を掴まれて振り返った。

うわぁ……。

掴まれた腕の熱を感じて見上げれば、一瞬にしてモノクロの世界は色を取り戻す。
その色は、いつもよりキラキラしていて…。
答えが分かった。

「こんな所、走ったら危ないでしょ!」
「にっしー…。」
「ケガしたらどうするの?」
「うん…ごめんなさい。」
「へ?」

勢いよく怒っていたにっしーの口から、情けない声が出た。

「何よ。」
「ううん、あまりにも宇野ちゃんが素直だから、びっくりしちゃった。」
「失礼ね。」

にっしーの笑顔から、逃げるように視線を外す。
掴まれたままの腕は熱い位で。
ドキドキする心臓の音が聞こえてしまうんじゃないかと、思えば思うほど顔が熱くなっていく。

ヤバイ…。

「もう離して。」

にっしーの顔が見れないままそう言った。

「離していいの?」
「え?」

思わず見上げれば、さらに、にっしーは近くて。

ドクン!

心臓が破裂してしまうんじゃ無いかと思った。

「離してもいいの?」

もう一度、同じ事を聞くにっしーの笑顔に余裕が感じられて…少し悔しい。

「離してって言ってるでしょ。」

負けずに意地を張ってしまう。
可愛くない私…。

「わかった。」

そう言って、離れる腕の熱に胸がチクッとした。

ギュッ

「きゃっ。」

突然の温もりにもれた言葉は、にっしーの胸の中に消えた。
力強いけど、優しく抱き締められて…。
逃げる事も忘れて、深呼吸した。
にっしーの香り…。

「宇野ちゃん…。」

にっしーの優しい声が耳元で聞こえて包まれる。

だめ…。
これ以上は…。

離れようとすれば、にっしーの腕に力が入る。

「恋に落ちた?」
「えっ?!」
「あはっ。」

にっしー…どういう事?
頬に当たる熱が離れて、にっしーの笑顔が見えた。

「作戦成功。」
「作戦…?」
「そう。『宇野ちゃんが恋に落ちる瞬間』でしょ?」

もしかして…。
この間、ファンの子からの質問に答えたのを思い出す。
『ずっと見つめてて…相手と目があった瞬間』
恋に落ちる…。

「にっしー…。」
「恋に落ちてくれた?」
「ばか…。」
「んー、それは答えかな?」
「知らない。」
「そっか、そっか。」

私はちっとも答えて無いのに、どんどん笑顔になっていくにっしー。
そのくしゃくしゃの笑顔に…。
負けた。

「宇野ちゃん。」
「何よぉ。」
「かわいいっ。」
「知ってる。」
「大好きっ。」
「…知ってる。」
「宇野ちゃんは?」
「……知らない。」
「あははははっ。」

楽しそうに笑うにっしーにつられて、私も笑う。
にっしーの腕の中は心地よくて。
もらってばっかの私。
お返しがしたくて…そっと頬にキスをした。
それが『恋に落ちた』私の答え。