西加奈子さんの「 i (アイ)」です
主人公アイが自分の存在に苦しみながら
人との関わりや経験を経て
心が開放されていくストーリーです
シリアに生まれたアイは
幼いころアメリカ人と日本人の夫婦の
養子になります
そのルーツの影響か
幼いころから自分という存在に悩み続けます
自分の意見を言わず
悪目立ちせず
負の感情を持たず
周囲に混ざり込んで生きていくことに
安心感を持っています
しかし容姿やルーツのせいで
なかなかそうはいかないので
より一層
みんなの求める自分を演じたり
みんなの安心する返答をしたりするのです
西加奈子さんの作品は
最近読んだ「くもをさがす」以外には
「サラバ!」を数年前に読んだだけでした
上•中•下巻
("中"まであったことに今驚いてます)
実は‥‥
「サラバ!」を読むのに
ものすごく疲れてしまい
(長編だったこともありますが)
西さんを敬遠していたのです‥
文章が力強くてエネルギッシュで
読み進ませるパワーみたいなのがあって
おもしろかったのですが‥
読みながらなんだかソワソワしてきて
「早く読み終えたい」という
謎の焦燥感のような恐怖心のようなものを感じながら読み終えた
という記憶があるのです
多分
もともとエネルギー不足気味の私には
西さんのパワーが強すぎるのだと思っていました
「くもをさがす」は実体験を綴ったエッセイのような作品だったので
とても面白く読ませてもらったという成功体験?から
別の作品も読んでみようかなーと手に取った1冊でした
最初はやっぱり
「強いなー(私には)」という感じで
立ち止まりそうになったのですが
さすが
読ませる力があるんですよね
力強くて後半は涙が出ました
アイは繊細で賢く優しい
世界中で起こる災害や戦争や貧困などを見聞きするたびに
自分の存在に悩み続けてしまうアイ
思慮深いことは美しいと思うし
繊細さや気づける力も大切だけど
それが自分を苦しめることもありますよね
誰かに認めてもらったり
いろんな価値観に触れたりすることで
自分を受け入れられるようになるし
いい意味で諦められるのかな‥
シンプルに
「生きよう!」
という力強いメッセージを感じました