★バレンタインSS★
『女子力の高すぎる後輩(♂)に狙われています。』
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放課後の茶道部部室。
畳の上でパカ、と開けられたタッパーからお目見えしたのは、均等に切り分けられた小さなパウンドケーキ。そのふんわりおいしそうなチョコレート色に息を呑む先輩女子一同に、彼は穏やかに微笑んでみせた。
「妹がケーキ作りしてるのを見てたら、なんか楽しそうだなーって思って。俺も作ってみちゃいました」
味は自信ないけど、よかったらどうぞ。――そう言う彼のタッパーから貰った、パウンドケーキひと切れ。
隣できゃあきゃあ騒ぎながら頬張っている友人たちを横目に、私も少しだけかじってみる。
(うう……)
もう、やだこれ。どうしてこんなにおいしいの。
口の中に広がる程よい甘さ。スポンジはふわふわでなめらか。作ってみちゃいましたレベルじゃない。こいつ、絶対作り慣れてる。
味に自信ないとか、嘘ばっかりだ。むかつく。
「せーんぱい、どうだった?」
ケーキを食べ終えてその場をこっそり離れようとしたら、すかさず彼に腕を掴まれた。顔を上げれば、その端整な顔にふわり、甘い笑みが浮かぶ。
「おいしかった?」
「……うん」
「よかったー。先輩に食べてほしくて作ったんですよ」
ほんとはね、とすぐ耳元で囁かれ、ぼぼっ!と急上昇する顔の温度。ああもう。なんでこいつはいつもそういうこと平気で言うわけ!
「はは、顔真っ赤」
「~~~っ、うるさいっ!」
意地悪く笑いながら頬をつついてくる彼から逃げようと、身をよじれば。今度は私の腕を掴む手に、ぎゅうっと力が込められた。
「俺も、先輩のチョコほしいなあ」
彼の甘えるような声に、ふと今日鞄の中に入れてきた不格好な手作りトリュフのことを思い出して、……ぶんぶんと頭を振る。
むり!あんなの絶対渡せない!
「あんたの分はない!」
「えー、なにそれひどい」
彼は不服そうに唇をとがらせてみせたけれど。それも次の瞬間にはいつもの余裕たっぷりな笑顔に変わっていて。
「じゃ、ホワイトデー楽しみにしてます」
……こんな顔をしてみせるのは私にだけ、というのだから。
ああもうこいつは本当に、なんてなんて憎たらしい男なんだろう!
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女子力高め腹黒男子×ぶきっちょ女子って需要あるかしら…。私は好物ですが(^p^)←
ちゃんとスターマインのバレンタイン話も書きますのでご安心をー♪