上野の国立西洋美術館で開催されてる
クラーナハ展を見に行きました。

 


コルマールのウンターリンデン美術館で見た
「メランコリア」の天使の眼差しに
なんとも表現しがたい魅力を感じて

 


クラナッハの絵をもっと見たいと思ったので
急遽日曜日の午前中にさくっと行ってきました。

 


美術館に絵を見に行くのは嫌いではないのだけど
日本の美術館って、写真は撮れないし、

混んでて疲れるのでちょっと敬遠がち。。。
(カラヴァッジョ展もルノアール展も行きたかったけど、腰が上がらなかったw)

 

 

というわけで混雑緩和のために早めに行ってみたのでした。

 

 

展覧会の題名が「クラーナハ展」とあって
ずっとクラナッハと呼んでいたわたし的にはちょっと違和感なんで
(wiki的にはどちらの表記でも良いようです)
ここではクラナッハと書かせていただきます。

 

 


恥ずかしながら今回の展覧会でクラナッハは、
親子二代に渡る芸術家という事を初めて知りました。

 

なので、作品にはルーカス・クラナッハ(父)とか
ルーカス・クラナッハ(子)などの表記がしてあります。
(父、ないし子?という表記には笑ったw)

 


クラナッハは当時強大な力を持った神聖ローマ帝国の中心地のひとつ、
ザクセン選帝侯フリードリヒ賢明公に気に入られて、
50年近くにわたって王国専属の宮廷画家として活動。

 

彼は芸術だけでなく、事業的にも優れた才能の持ち主で
息子や弟子たちと効率的な制作環境を作り
スピード感を持って大量生産できる体制を実現させました。

(今に例えると漫画家とアシスンタントとかアニメみたいに

 制作過程を分業にしてたりした)

 

 

また、蛇をモチーフにした独自の署名を「商標」代わりにして
自身と工房のブランディングを確立させたり、かなりのやり手!!

 

 

 

そんなやり手のクラナッハさんの作品で

今回わたしが心惹かれたのは
ビーナス、そしてルクレティアの一連の作品。
 

【ビーナス】 ルカス・クラーナハ(父)

1532年 シュテーデル美術館蔵

画像は公式HPから

 

これは結構有名な絵なので、知ってる人も多いかも。

裸体にアクセサリーだけ身につけて、の、この視線。。。

ビーナスというよりコケティッシュな魅力が小悪魔的ハイヒールラブラブ

何度も見ちゃうよね〜ニコニコ

 

 

 

【ルクレティア】ルカス・クラーナハ(父)

1529年

ヒューストン サラ・キャンベル・ブラッファー財団蔵

画像はこちらのサイトから

 

1510/13年頃

個人蔵

画像はこちらのサイトから

 

 

1532年 

ウィーン造形芸術アカデミー蔵

画像は公式HPから

 

 

3枚とも「ルクレティア」を題材にしてる作品です。

 

 

三番目は前出のヴィーナスとほとんど同じ構図にポーズ。

あまりに似てるんで、思わずヴィーナスを確かめに戻ったよw

(両作品は同じ年に作られていました)

 

 

この絵の主題であるルクレティアは、貞操を守り自害した悲劇のヒロイン。

(ルクレティアの物語についてはwikiを参照ください)

 

 

1枚目のルクレティアからは

死を持って自らの尊厳を守るという

強い意志みたいなものを感じます。

 

2枚目のルクレティアからは

その身の潔白さを汚されたこと、そして命を失う悲哀さを。

 

3枚目のルクレティアからは

この世を去る寂しさと、命を捨てて貞操を守るという

諦念と受け入れを。

 

 

同じ主題でも表情や、ナイフの持ち方の違いで

こんなにも受け取る印象が違ってくる。

 

 

クラナッハは、その生涯で30以上のルクレティアを描いているのだけど

(子も合わせると、もっと多い数になるそう)

作品を書き続けていく中で、彼のルクレティアの解釈も変わり

それが表現に現れているのだな、と。

 

絵から彼の思惑を推理したり感じ取って見たりするとすごく面白いです。

 

こちらのページにクラナッハの描いた数々のルクレティアが見られます。参考までに。

 

 

 

もう一つ面白い展示だな〜と思ったのが

 

【正義の寓意:ユスティティア】

1537年 

個人蔵

画像は公式HPから

 

 

そして

 

 

世界の複製画の約半数を生産する芸術村で行われた

【正義の寓意】の模写作品100点の展示。

 

これは圧巻でした。

 

ひとつひとつの複製作品をよく見てみると

技術に差があるのはもちろん、

絵の表情や、表現している部分の有無も様々。

 

ある絵を見て、なんでこんなに体に筋があるのだろう?

こんなの本物の方にあったっけ?と思って

本物の【正義の寓意】を確認しにいったら

それは”透明な衣”を表現したものだったのです。

 

複製画を見るまで、わたしは本物の絵に

透明な衣が書いてある事に気がつかなかった。

 

この企画自体、絵画の複製や価値について問いかけたものなのですが

その企画者の思惑通り、色々考えさせられたのでした。

 

 

 

そして、今回の展示の目玉。

 

【フォロフェルネスの首を持つユディト】

1525〜30年 

ウィーン美術史美術館蔵

画像は公式HPから

グロい絵なので小さめに貼っておきますw

 

この絵はこの展覧会のために、

なんと3年もの歳月をかけて修復をして来日しています。

 

その修復ビフォアーアフター映像も会場内で観れるのだけど、

500年の時を超えた、本来の美しさが観れるってすごいし

(ユディトさん、修復で本来の色白さを取り戻したご様子。美白効果〜カナヘイきらきら

国を挙げての、すごい事業なんだな、と染み染みしちゃいました。

 

 

 

 

クラナッハの魅力について。

 

独特の官能さをあげる人が多いし、自分もそれに魅了されるけども

個人的には人物の表情の豊かさも挙げておきたい。

 

【ヘラクレスとオンファレ】

1537年 

バンベルク財団、トゥールーズ蔵

画像はpinterestから

 

ギリシャ神話の英雄ヘラクレスが、

糸紡ぎ女たちに女装させられいじられているという場面。

 

最初ヘラクレスのデレデレっぷりが目に入ってきて

クスッとしてしまったのだけど、

右端の女性と目が合って

「強い男だって、女の前じゃかわいいものよねハート

なんて言ってるように感じて、なんだかこの女性たちに共感、、、

というかこの絵の場面に居合わせたような感覚になったのです。

 

ふっしぎーーー!!

 

 

今回この展示を見て、

知らなかったクラナッハの魅力にたくさん触れることができました。

 

クラナッハの絵って、超上手って訳でもなく

むしろ裸婦の体なんかデッサン狂ってて変だと思うんだけど

見るものの想像を掻立てる不思議な魅力があると思います。

 

大満足で帰宅っつながるうさぎカナヘイ花

 

 

 

 

珍しく図録も買いました。

 

 

こんな不思議な美しいものが家にあるっていいなぁって

思って買ったけど、やっぱり良いですカナヘイきらきら

 

クラナッハ展、今週の日曜までだけども未見の人は是非!!

その不思議な魅力に触れてみてくださいラブラブ