わたしはマザコンのたぐいに入るのだろうか。
長年ぼんやりと思っていたことだ。
マザコンといっても男子のそれとはまた違う感じがする。
すると母はこう言った。
「おまえはマザコンではない。
ただ、お母さんがいないと死んじゃうってだけ」
ガビーーーーン
た・・・たしかに、
乳飲み子抱えて母はリコンした。
ママに必死にしがみくことは
生きるために必要なことだった。
一度、数か月だけ預けられたことがあるけれど、
またママを取り戻したときは
「もう二度と離さない」
そう思ったにちがいない。
ま、お母さんがいないのは死んじゃう!!は大昔の話で、
今はそんな切迫感はない。
ちいさなわたしの声なき叫びが、
どこか奥のほうにしまわれているだけだ。
今思うのは、
わたしが母にちょこちょこついていくことで、
母は恩恵を受けているだろうな・・・ってことだ。
え?得してるのはわたしかって?
いやいや。母は「おやびん、ついていきますぜ」な子分に、
全肯定されて生きているのだ。
それってすごくない?
わたしにはそんな子分はいない。
だから正直うらやましいと思う。
誰もわたしに迷惑をふってくる人はいない。
迷惑もときにはいいものだ。