パール・バックの「大地」という小説がある。
宣教師の父と中国で暮らしたアメリカ人女性が描いた、
中国人三世代の話である。
「大地」はノーベル文学賞を受賞しているようで、
わたしが読んだノーベル賞作品といえば、
これと「ニルスの不思議な旅」だけである。
第一部の主人公は貧しい身分から成りあがった人で、
自分の死後、白痴の娘がどうなるか心配して毒を用意している。
幸いにも優しい子が最後まで白痴の子をみてくれたようだ。
先日母がね、
「お嫁さんに面倒見てもらう日がきたら、
おまえも同伴」と冗談のようなことを言ったので、
わたしはこの白痴の子を思い出したのだ。
結婚するわけでもなく、経済力もない子。そういう意味では同じだ。
だからといって、血のつながりもない人に「面倒みてね」とは言わないからー!
わきまえてるからー!(と叫んでみる)
これは最近知った話だが、
母はよそのおばあさんを引き取ろうと本気で考えたことがある。
あれはわたしが小学二年生のとき。
わたしたちが住んでいたのは「元お妾さんの家」らしく、
一軒の家を半分に分けた貸家で、
お隣の一人暮らしのおばあさんと、
家族のようなつきあいをしていた。
思い出すのは「おばあちゃんが隣にいる安心感」だ。
引っ越すことになったとき、とても寂しかった。
母はこれから再婚するというのに、
おばあさんも連れて行ってもいいか相手に聞いてオッケーをもらっていたらしい。
残念ながら、おばあさんにも存命の息子がいるので叶わなかったけれど。
なんだかとんでもない話しだと思う。
お金目的の詐欺みたい。
でもおばあさんが天涯孤独だったら、
本気で母は面倒みたと思う。
嘘みたいなホントの話。