われはキャテリカの宝剣。
 
持ち主に災いをもたらすという呪いの宝剣である。
 
しかし栄華を誇ったのも昔のこと。
イワクとは口伝えに語られるもの。
いつしか隅に追いやられ忘れられ・・・
 
噂をされることもなくなれば、ただの骨董なのである。
 
 
そんなある日、われを揺り起こすものが現れた。
 
 
 
「なんだろう、これ。
厳重にプチプチにくるまれているよ」
 
 
 
われの封印を解こうとするのはどうやら小童らしい。
幾重もの封印に悪戦苦闘し、やっと封を解いた。
 
 
「なんだぁ、古い小刀がでてきたよ」
 
 
血吸いのナイフと言われたわれになんたる言い癖だ。
呪ったろか!
 
 
「ゴミなのか、すごーーーく価値のあるものなのかわかんないな。
説明書でもついてればいいのに」
 
 
そうなのだ。
われにはなんの説明もついていない。
持ち主がギロチンに処されたとか、
盗んだバイクで走り出したら帰ってこないとか、
そういう記録はいっさいないのだ。
 
 
ん・・・・・?
 
 
 
まてよ。
われは本当に呪いの宝刀なのだろうか。
誰かが勝手に言ってて、
それがずーーーっと続いたものだからすっかりその気になっていたが。
 
 
いま、目の前にいるこいつを呪えるだろうか。
 
 
 
 
 
「これ、使い道あるかな?
べつに護身用とかいらないし・・・それに、
武器を持つとしたら大剣のほうがカッコいいよね」
 
 
 
呪ってやる。
呪ってやる。
短剣しか選べないように呪ってやる。
 
 
 
 
 
「またプチプチでくるんで戻すのもめんどうくさいし、
もらっていくかな。
しばらくオブジェにしてみよう」
 
 
小童はわれを所有することにしたらしい。
 
さてどうしたものか。
悪名高い昔を踏襲するか?
血を呼ぶか?
 
 
それとも・・・