中学生くらいのころ、
神とあがめるくらいに大好きな作家さんがいた。
その方はまだ20代でね、
目黒のすっごくいいマンションに住んでて、
いつも締め切りに追われていて、
仕事もするけど海外にもバンバン行っていて、
たぶん今でいうと
稼いでいるユーチューバー見てスゲーって思ってるような感覚でながめていたかもしれない。
もちろん作品も好きだったけど、
あのころの自分は作者そのものも興味の対象だったから。
未熟なりに感じたり考えることを等身大に描く。
そんな作家さんだった。
漫画みたいな小説だとやり玉にあげる大人もいたけど、
彼女の描く世界は自分にとってかなり救いだったと思う。
なんというか、
そのころの自分はすでに枯れていたというか。
哀愁も郷愁も理解するオヤジのような境地にいた。
準備が整っていないのに勝手に中学生になり、
はきたくもないスカートを履き、
なにがなんだかわからない・・・
ふつうはそのうち現実に慣れていき、
楽しいことで埋め尽くしていくんだろうけど、
その段階に到達しないまま、
わたしはグレていた。
成長痛って色々あると思うけど、
自分の場合は「成長がつまらないことのように思える」という実感として表れたのだろう。
そんな時期に・・・
美しい物語はわたしにとって救いだった。
この世に美しいものがたくさんあると思わせてくれることも。
そんな仕事をしながら、だれかに共感され、
お金にもなり、毎日が夏休みみたいだと言える大人がいること。
そんな世界を見せてもらえたことが。
今こうして書くと
「お金になり」の部分が一番響くわけだけど
(大人になったな・・・)
人間ってしょーもないことすることもあるよ。って、
そこを置き去りにしないところが一番好きだったな。
アンネ・フランクもそう。
ひどい場面をたくさん見ながら、
「だけど人は善だと信じている」って、
そう書いてた。
子供なりに、未熟なりに、
でもわたしはこう思う。
そういう発信がわたしにとって糧だったのだ。