ロバート・ウェスト―ルが好きだ。
「夏の庭」という文庫本で、
主人公の少年が読んでいた本が
ウェスト―ルの「かかし」だった。
それからは、
図書館に行くたびにウェスト―ルの棚に行くようになった。
ハマったのだ。
図書館に行けば、
いつもウェスト―ルの本はわたしを待っているのだけど、
それでも我が家にお迎えした本が二冊ある。
「海辺の王国」と「猫の帰還」
この二冊に共通しているのは旅だ。
旅をするのが、
空襲で家を失った少年か、
こんなところごめん!と出て行った猫か、
という違いはあるけど。
いろんな人に出会い、
ひたすらに自分の居場所を探すという意味では似ている。
爆撃機が飛び交っているという、
なかなかスリリングな旅だ。
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海辺の王国
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今日、「種としての自立」という視点で、
新たに「海辺の王国」を読み返してみた。
自由を選んだ少年は、
いい大人も悪い大人もいるなかで、賢く生きぬいていく。
庇護されるのではなく、ときに相棒の犬を守りながら、
最後は一人の大人を、哀しみから救いだした。
(かなりじーんとくる)
よくあるセオリーでは、
旅を終えて、元いた場所に戻ったとき、
前よりいろんなことがうまくいくものだけど。
この物語は事情がちがって、
彼の素晴らしい経験や、
見た世界を分かつことができるのは、
もうなじみの人たちではない。
という展開になっている。
猫の旅もそうだったけど、
ずっとその旅についてった読者としては、
その旅の価値を知ろうとしない者に腹が立つ。
ちょっと何か言ってやりたいくらい!
でもそんな文句は重要ではないのだ。
彼らは、自分のいるべき
ゆるがない場所を見つけたのだし。
少年もそこに還っていく。
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