20歳くらいのときかなぁ。
わたしはとてもオランダに行きたかった。
アムステルダムの運河沿いに、
ユダヤ人8人が隠れ住んでいたビルがある。
そんな都会のビルが隠れ場所って!
どんな場所で息をひそめていたのだろう。
運河の反対側から見える中庭や、
隠れ家をカモフラージュした秘密の扉を見てみたいと思った。
オランダに見聞に行く財力のなかったわたしは、
いろんな追跡本を読み、
横浜で開催した「アンネ=フランク展」を見に行った。
思えばあれがはじめてのひとり旅だった(日帰りだけど)
今は一人カフェや、一人とんかつ、
一人ショッピングをするのもあたりまえだけど、
そういえば昔はひとり行動ってなくて。
ひとりで飲食店に入ったことがないから、
緊張したのを覚えている。
高島屋の適当なカフェに入って
「くろっくむっしゅ」という聞きなれないメニューを選んだ。
ぜんぜんくつろげなかったし、
高級感のあるメニュー説明が書いてあったけど、
ハム挟んだだけじゃん!みたいな印象
そして横浜観光をしないまま、
たくさんの本を抱えて岐路についた。
(今ならアマゾンで買うけどな!)
けっきょく、遠くまで「アンネ・フランク」を感じに行ったのに、
横浜にアンネはいない。
彼女は本の中にいるのだ・・・そう確認しただけだった。
オランダに行っても、やっぱりそう思うのだろうか。
彼女の足跡をたどりたくて、
ドイツ、オランダ、アウシュビッツまで足を運び、
彼女を知る人に会いに行った人たちは、
そこに彼女をみつけただろうか。