電話が鳴った時、相手の名前を見て、
出たいと思うか
うわと思うか
それで自分の心がわかると学びました。
最近はLINEでもわかりますね。
ドキドキ。
LINEはすぐに見なくてもいいという
ワンクッションがあり、
今やほとんど開かなくなったメールなんて、
昔の手紙くらいの距離感に、
心地よい安心感すら覚えます。
開かなすぎて、会社の安否確認テストメールに
気づかなかったり、
学校メールなんてほぼ事後把握になったり。
でも連絡をしたくて、メールした方から
お返事をいただけるとたいそう嬉しく、
ほぼ恋文のような感覚さえあります。
ある時期とても親しくしていても、
自然離れたり、
不思議と会えなくなったり
それはそれで良いのだろうし、
無理にどうこうするものでもなく。
でも人の心はそう簡単にわりきれもせず、
距離が近かったら近かった分、
別れを寂しく思い、
また会う日までお元気で、
とけりをつけようとしたり、
なんでこんなことになったのだろうと
後悔するものかもしれません。
そんな別れを感じた人から、
いろんなことをすっ飛ばしたLINEが届き、
心がぎゅうとなりました。
急に距離近。
ずっと連絡してなくてごめんね。
元気だった?
また会いたいな。
そう言われたらうれしかったのか。
いやそうでもなくて、
私の知ってるその人は、
開封せざるを得ないような、
ありがとうとしか言えないような、
そんな手紙を書く人ではなかったから、
ブランクをものともしない、
いきなりの展開に果てしない距離を感じ、
急に距離遠。
それもまた私の作り出した世界で、
ただの思いこみなのだけど、
何年も迷っていたドールを、
私なりの決着の仕方で選び残したばかりの
出来事で、
そこに意味を見出そうとしたのかもしれません。
ひとつわかることは、
赤のビロードの布でくるみ、
ちんまりと整頓していても、
光もあてず、
元気?と声もかけてなかったのに、
急に出番だよと引っ張り出されても
「え、私?」
「なんで今頃」と
人は拗ねるし、人形も困る、ということです。
急に距離遠の類似品、
急に距離白々もあります。
白々より熱々で、
今の温かい関係を冷まさないように。
もしも冷めたらふうふうして、
温めたいと思える関係がある今は、
去って行ってくれた人分のスペースに
入ってきた関係かもしれず、
そう思えばあの人にもありがとうです。
人形に着せていた私の着たかった服は
もう着てる。
そのことを大きく喜び、
住まいの中にある
大事にして、と
こっちを向いて、と言っている
拗ねたモノも人間らしいねと優しく見つめ、
誰かの舞台からの降板も真打登場も
ほいきたやれきた、
ちょいとごめんなすってといなしながら、
私は私の舞台を調えていくことだけでいいと
知っているのは静かな安らぎです。
赤のつぶつぶ数珠珊瑚。


