鹿児島の有名な展望台から見る桜島は

とても綺麗ですが、外国人がいっぱいで、

そのパワーに圧倒されました。


磯の湾岸道路からはずっとずっと

桜島が見えますが、ある地点に来ると、


一瞬だけすっぽり隠れて桜島が見えなくなります。


それはあんまり知られてないことかもしれず、

もっと知られてない大好きな桜島は、

実家近くから見る桜島です。



信号もコンビニもスーパーも何もない、

この土地が心をゆるませてくれます。


小さい頃、「知っちょっか?こん場所だけ桜島が

見えんごなったっど。(ニヤリ)」

と父から教わりました。


何かの拍子に思い出す父は一瞬だけ

本当にそばにいるのかもしれず、

せっかちな父はまたすぐに、

どこかの家族のところに飛んでって

守ってくれている気もするし、


やりたいことがいっぱいで、

いつも今が青春と言っていたから、

手を合わせていても、

地球がおもしろいからと、

気が早いからもうどこかで

生まれ変わっている気もするのです。



展望台のあるホテルの温泉の入湯料は、

温泉大国鹿児島の平均の10倍ですが、

実家の断捨離をがんばったし、

春からいろいろがんばった気もするし、

いいよね。


その時間が至福の時で、

露天風呂からは目の前にこのままの景色。

というか街並みが消えて、

もっとずっと近くに感じるのです。

山肌に映る雲の影をただボーッと眺めて、

雲の形が変わるのを見上げ、

錦江湾の群青とさざなみを見て、

桜島フェリーのうどんがまた食べたいなぁとか。


お湯にたゆたいながら、

ぷかぷかと浮かぶ思考を浮かんだままにして、

薬効高い温泉で肩の痛みもなくなり、

身も心も放たれ「来てよかったー。」

よかったーよかったー(エコー。)


そのホテルの中にあるさつま揚げ屋さんが

さすが他にはない夏限定「鰻入りさつま揚げ」

なるものもあって、

いつかお取り寄せしようと思っていました。


9月になったら、お月見セットという

限定のさつま揚げがあり、

卵の黄身で作った満月のさつま揚げ。

ウサギの形のさつま揚げの中にはチーズ。

牛蒡と栗入りのさつま揚げ。


それを父の誕生日に送りました。

思いついたのがギリギリで、

誕生日にお供えできるか心配だったので

電話で事情をお伝えすると、

オンライン担当の若いお姉さんが、

本当に親切に心ある対応をしてくださり、

無事に届き、母も喜んでいました。


ひとりだとごはんを作りたくないけど、

さつま揚げならそのまま食べられると。


電話でも丁寧な対応だったのに、

すぐにメールも来ていて、

「ご安心ください。

 必ずその日にお届けいたします。」と。


不覚にも泣きそうになり、

今も思い出すとジーンとします。


やりとりが豊かなのか

温泉の時間が豊かだったのか

その方のお人柄が豊かなのか


ふとした瞬間に父のことを思い出して、

なんてことない日に

なんとなく手を合わせ、

お父さんもうそこにいないでしょと、

父のようにニヤリと笑って、

今日もなんてことない普通の日を過ごせましたと

あなたの初孫はハタチになりましたよと

ブツブツ言えることが

涙がでるくらい豊かなのだと思います。