帰省中は、床の間のある和室に

寝泊まりしました。


母も捨てない人ですが、

父はもっと捨てません。


「うっすんな!

 あっこんな!」

(捨てるな。触る(扱う)な。)

とよく言われました。


床の間 before



聞いたら怒られるだろうな、と思いつつ、

父が入院する日の朝、

「お父さん、

 動かしていいのがあるか見てくれる?」

と聞いたら、

なんと、父のスイッチが入り、


「こいも要らん。こいも要らん。」

えー!(心の声)


ほとんどのものをいらないと言い、

「ずるっ捨ててんよかとやっで、

 2階に運んじょけ。」

訳「全部捨てていいものだから、

  2階に運んでおいて。」


「お父さん、それは捨てるとは言わないよ。」

とは言いません。

このチャンスを逃してなるものか。(心の声)

父は今、2階の私と妹の部屋だった場所を

書斎のように使っているのです。

はっきり言って物置です。すごい物量です。


そして私に、

「あとは、お前が思うように飾ればよか。」

うそー!


床の間に置きっぱなしの父の誉れを、

一緒に鴨居にかけました。

父がうれしそうに見えます。


その時、自ら、何十年も掛けたままだった

自分の剣道と柔道の段位の額を外し、

2階に運んでそのスペースを作りました。

お父さんすごい!と思ったけど言いません。

どこでそっぽを向くかわからないから笑い泣き


ほとんどのモノは2階に運んだけど、

それでも埃を被った飾りをいくつかは捨てました。



after



椅子を持ってきて、床の間の天井、床柱、

壁、床板、を拭きました。 

とても汚れていました。床板に敷いてあった

ゴザみたいな、飾りのついた敷物も傷んでいて、

それも捨てていいと言いました。


私が拭いた後、和室に来て、

「はめけっせーしたねー。

 よかったよかった。

 ほんのこっな、こげんしたかったと。」

訳「(掃除を)本腰入れてしてくれたねー。

 よかったよかった。

 本当はこんな風にしたかったの。」


なんて言うので、うれしいんだけど、

およそ父から褒められたことなどないので、

入院前でいろんな想いがあって、

こんな風に言うのかなと寂しくなり、

いつものように、怒られた方がいい、

という変な気持ちになりました。


入院前日まで、母のために庭の草払いをする父。


お父さん、ほんとに病気なの?

と思うくらいよく食べて、よく動いています。



仏壇の上から出てきた昭和天皇崩御の新聞。

1989年。父は捨てないと言いました…。

なんでよ!絶対忘れてたでしょ!

カビカビだよ!!!!!(言いません。)


床の間に、

「伊勢神宮で買ってきた、よか〜軸を飾りたい。」

と言う父。

探しても探しても出てこない。

あの物量ならそうなるよね。(言わない。)


「よし!退院したら見つけて飾ろう。」

いいねいいねー。

「何もない今のままの方が、かえって

 良かかんしれん。(良いかもしれない)」

お、そう思うのね。


実家の断捨離は泣き笑い。

切なくなったり、ほんとにもう!ってなったり

心が揺れる作業でした。


床の間の電気を付けて、寝っ転がるとこう見える。



ここに蚊帳を張って、

みんなで寝た夏を思い出します。




happy new Life 星空満月星空