今日は空の綺麗な1日。
朝も。


夕も。


家が整っていても
散らかっていても

本当はどちらでもいい。


制服を足の形のまんま脱いで床に放置。
ジャケットも靴下もどこで脱いだかわかる。
中学男子は謎の生き物。


ダイニングテーブルに読みかけの本
キッチンに牛乳を飲んだコップ
無造作に置いてあるiPad
ソファにアイスの袋


名探偵よろしく
犯人の遺した痕跡を探る。


「ズボンくらいかけなさい。」と言うと
テヘッと笑って。
でもまた明日もきっとこう。


どうしてあんな風に脱げるのかしら。
あのズボンの形はもはやゲージツ。


昨夜、母から伯父の命の灯火が
消えかかっていると連絡がきて。

その時私は伯父の命のことより
もしもの時は帰らなくてはならないか
香典はどうするか
そんなことを口にして。


一日経って
30年前、まだ高校生の私に
『プレジデント』もう読まないから読みなさいと
帰省の度にバックナンバーくれたこと。
ダンディだった姿。
詩吟が好きだったこと。
思い出して日の出に謝って。

そうすると
脱ぎっぱなしの制服も
食べっぱなしのおやつも
生きている証。
いとおしい形。

文句のひとつも言いたいけれど。
足の形のまんま脱いであるズボン。
今日は生きている証。


家が整っていても
散らかっていても

本当はどちらでもいい。