いつ魔界とやらに連れて行かれるのか分からない
けど…それまで父さん、母さんと過ごしたい。
そう言った松本さんの表情はとても柔らかな
ものだった。

「潤……ありがとう、ありがとう」
「あのマンションも潤を守る意味で住まわせたのだ
がまさかマンション前で狙われるとは思いもしな
かった。本当にすまない」

もういいよ。
それより子供の時よく連れて行ってくれたレスト
ランに行こうよと言うといいわねとお母さんは大
層喜びじゃあ私たちはこれでと3人で出て行った。


「松本さん…本当の意味で親子になれたようだね」


鼻をグズグズ言わせながら雅紀が言った。


「松本くんは大丈夫だろ。強く育ててくれたあの人
たちには俺らも感謝だな」

さてと。と言うと智さんと目が合った。


「次は翔ちゃんの番だけど……」

えっ!?俺は話を聞くだけじゃ無いの?
もしかして俺も魔界の人間……とか?


「翔ちゃんは普通の人間だから安心しな」
「……!!あっ……そう、ですか…」
「何?魔界の住人の方が良かったの?」

からかうようにニノに言われ、いや。俺だけ人間
だとこの場に立ち会う必要あるのかなとか……


「しょーちゃん!そんな事言わないでよ!僕だって
しょーちゃんも魔界人だったらどんなに良かった
か……。何度そう思ってもそれは仕方ない事だし」
「雅紀……。俺は普通の人間って事は当たり前だけ
ど雅紀より先に確実に……その、さ」
「そうだよ。でも僕はしょーちゃん以外の人の事
好きにならない。何度生まれ変わってもね」


雅紀の深い愛情を感じて心が震えこの先悔いのな
いよう雅紀と過ごして行こうと強く誓った。