チェックインまでまだ少し時間があったので
観光地を巡りそろそろ行くかと旅館にチェック
インした。


「いいお部屋だね」
「部屋風呂もあるからな」


正直、なかなかの宿泊料だったがボーナスを全部
つぎ込むぐらいの気持ちでここを予約した。


だって部屋風呂だぜ?
あんなことやこんなことやり放題だ。
金の問題じゃないんだよ。


「一緒にお風呂はいつも入ってるけどやっぱりロケ
ーションも含めていいよね」
「そうだよな。確かに」


荷物を置いて海岸まで行こうってなり徒歩で15分
ぐらいらしいのでゆっくり歩いて行った。


「わぁぁぁ。綺麗だね」
「うん。これがもっと沈めば海が黄金色になるん
じゃね?」

かなり寒かったので2人身を寄せ合い手を繋いで
目でも分かるぐらいどんどん陽が沈むのを無言で
見ていた。




「あぁそうだ。あの岩あるだろ?あれさ馬の頭に見
えね?」
「本当だ!木の生え方もたてがみみたいだね」
「馬ロックって言うらしい」

そう話してる間にもどんどん陽は沈んでいった時
横で鼻をすする音がして何気に雅紀の顔を見てい
たら涙を流していた。

「グスッ。やっと夕陽見れたね」


呟くように言う雅紀に俺は他の誰かを思い浮かべ
ているんだと思うと複雑だった。