1時間待っても櫻井さんは来なくて、もしかして何かあったのかと心配になってきた。


もし、仕事で遅れてるなら電話は失礼になるだろうと思いメールを送った。

『お仕事で何かありましたか?』

もし、仕事で何かあって来れないのなら返信もないかも知れないけど…


結局、いつまで待っても返信もなくレストランの方が申し訳なさそうにもうお食事をお持ちしてもよろしいですか?と言われ。


自分の分だけお願いして涙がこぼれないように黙々と口を動かし続けた。


会計を終わらせ寒さに震えながら駅に向かって歩いていたら。


「相葉さん!」

その声に顔を上げて立ち止まった。


櫻井さんは肩を上下させながら息を整えていた。


「本当にすいません!会議が長引きその上ちょっとトラブルがあり…」
「良かったです」
「………えっ」
「何かあったのかなとかもしかしたらドタキャンかなとか思ってたので…仕事で遅れたなら良かったです」
「散々待たせて…本当にすいません」
「勝手に待ってただけですから。それよりこれ、誕生日おめでとうございます」

そう言ってプレゼントを渡すと何とも言えない表情で受け取った。

「この埋め合わせは必ずしますから」
「そんな気にしないで下さい。櫻井さんの誕生日は今日だけで勝手にお祝いしたかっただけですから。じゃ、またお店でお待ちしてますね」


そう言ってさっさと駅に向かって早歩きで歩いた。


俺は酷いな。
仕事だったんだし櫻井さんは悪くないのに
遠回しの嫌味だよな。


頭では本当に櫻井さんの事責めるつもりはないし、しょうがないのは重々分かってるのに気持ちはそんな簡単にどうしても割り切れなかった。